【菊花賞】1着ビッグウィーク

[ 2010年10月25日 06:00 ]

<菊花賞>ビッグウイークがローズキングダム、ビートブラックを抑えて優勝

 遅れてきた大物がラスト1冠を奪取した。クラシック最終戦「第71回菊花賞」が京都競馬場で行われ、7番人気の伏兵ビッグウィークが、1番人気ローズキングダムを抑えて完勝。騎乗した川田将雅騎手(25)は08年皐月賞(キャプテントゥーレ)以来、2度目のクラシック制覇。管理する長浜博之師(64)は00年ダービー(アグネスフライト)、01年皐月賞(アグネスタキオン)に続き、史上11人目の3冠トレーナーとなった。

【レース結果
戦い終えて
土曜気配
金曜気配
枠順泣き笑い
追い切り
データBOX


 菊の大輪を思わせる、黄色いメンコとシャドーロールが、小雨に煙る淀の直線でひと際大きく鮮やかに躍動した。好位2番手で4角を迎え、ライバルより早めに追い出したビッグウィーク。内ラチ沿いで逃げ粘るコスモラピュタをとらえると、前方の視界が一気に開けた。Vロードを川田の激励に応えてばく進する。猛追したローズキングダムに1馬身1/4差をつけて、ゴールに飛び込んだ。
 「一番いいリズムで、思い通りに走らせることができた。3角の下り坂で勢いがついて手応えは抜群。前の馬はかわせると思っていたので、あとは後ろだけを気にしていた。最後はよく辛抱してくれた」。淡々とレースを振り返った川田だが、前走の敗戦を教訓にしたファインプレーだった。
 3連勝で意気揚々と臨んだ神戸新聞杯で3着。菊切符は手にしたが、首差一騎打ちのローズキングダム、エイシンフラッシュとは3馬身差。「直線までじっと待って追い出してよく伸びているのに、あっという間に置いていかれた…」。瞬発力ではかなわない。早め先頭で持久力勝負に持ち込むシナリオ。7月の未勝利戦Vから5戦連続の手綱。パートナーの特性を把握しきっていた。
 「本当にうれしい」と何度も繰り返した鞍上の表情は神妙なまま。スプリンターズSではダッシャーゴーゴーで2位入線を果たしながら進路妨害で4着降着。開催4日間の騎乗停止となり、前日(23日)に処分が解けたばかりだった。「大きな迷惑を掛け、責任の重さを痛感した。あらためて競馬に乗せてもらえることに感謝したい。復帰の週にG1を勝てて本当に良かった」。謝罪と反省の気持ちを胸に人馬ともに最高のパフォーマンスを披露した。
 64歳になる長浜師は初の菊花賞V。「定年(70歳)までには獲りたいと思っていたのでうれしい。4角の貯金がモノをいったね」と好騎乗を称賛。「未勝利勝ち以降、どんどん内容が良くなっていたので、いい状態で出せればと思っていたが…。出来過ぎです」と真夏も休まず走り続けた愛馬の頑張りに脱帽だ。
 次走は未定だが、今後は古馬との対戦が待っている。実戦で我慢と鍛錬を積み重ね、大舞台で花開いたビッグウィーク。サクセスストーリーは、まだプロローグに過ぎない。

 ◆ビッグウィーク 父バゴ 母タニノジャドール(母の父サンデーサイレンス)牡3歳 栗東・長浜博之厩舎所属 馬主・谷水雄三氏 生産者・北海道日高郡新ひだか町カントリー牧場 戦績10戦4勝 総獲得賞金2億612万7000円。

 ◆川田 将雅(かわだ・ゆうが)1985年(昭60)10月15日、佐賀県生まれの25歳。04年デビュー。06年小倉大賞典(メジロマイヤー)で重賞初勝利。JRA通算382勝、重賞18勝(G1は08年皐月賞、10年菊花賞)。父・孝好氏は佐賀競馬の現役調教師。1メートル58、48キロ。血液型B。

 ◆長浜 博之(ながはま・ひろゆき)1946年(昭21)9月19日、兵庫県生まれの64歳。父・彦三郎師もJRA調教師。厩務員、調教助手を経て88年に厩舎開業。同年9月17日にタニノカーカネットで初勝利。90年にアグネスフローラ(桜花賞)でG1初制覇。JRA通算451勝。重賞32勝(G1・7勝)。

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2010年10月25日のニュース