【JCダート】1着エスポワールシチー

[ 2009年12月7日 06:00 ]

<JCダート>直線に入り後続を離したエスポワールシチー(左)が圧勝

 09年秋のダート王決定戦「第10回ジャパンCダート」が6日、阪神競馬場で行われた。1番人気に支持されたエスポワールシチーが後続に3馬身半差をつける逃げ切りで、初のJRA・G1タイトルをもぎ取った。2番人気ヴァーミリアンは見せ場もなく8着に敗退。フェブラリーSに続き4歳馬が制したことで、ダート界の“政権交代”がくっきりと明らかになった。

【レース結果
戦い終えて


 エスポワールシチーの完勝譜だ。他馬はそのスピードにおびえ、結果として先頭に立ったこの馬に何ら重圧をかけられなかった。
 「調教から勝てる手応えがあった。あとは自分がミスしないようにと。1番枠を引いたのが最後の試練かと思っていた」
 佐藤哲がレース前の胸の内を明かした。だが、スタートしてみれば、この枠はVにつながるゲートとなった。偶然ではない。好スタートから外にニラミを利かせながらの先制。右回りの経験がない米国馬ティズウェイがハナをうかがってきても「1コーナーで頭半分入れれば、向こうは外に膨れていく」という冷静な判断があった。
 「調教を付きっきりでやってきて、折り合いには絶対の自信があった」
 キーポイントは向正面、スタート後3~4Fでマークした12秒5のラップだ。人馬がこれまで築き上げた“速い逃げ”のイメージのためか、他馬が追いかけない。3角手前で後続が2番手の奪い合いをするようでは、気分良く先頭を走る相手には響かない。すべての布石がはまり、一方的な勝利を手中に収めた。
 佐藤哲は07年1月と12月に落馬で2度の骨折を経験している。「ケガをしてモヤモヤしている時、この馬と出合った。この馬とならG1を勝てると思った」と振り返る。フランス語で「希望(エスポワール)」と名付けられた馬が佐藤哲の心の支えとなった。
 安達師は、随所に幼さを見せる大器の教育を佐藤哲に託した。「最初は口向きが悪かった。ハミの調節から、乗り手の指示に従うことから、いろいろと教えてもらい、能力を出せるようになりましたね」と成長を実感している。
 佐藤哲が感激に浸ったのも一瞬。「よく頑張った。でも、もっと頑張ってもらわないと。自分としては最終的な目標を海外に置いている。この馬とならと思う」。希望は海外へと膨らんでいく。安達師も「今後は何も決めていません」と前置きしつつ“ドバイなど海外への遠征は?”の問いに「そうなればいいなとは思いますね」と喜びをかみしめながらうなずいた。

 ◆エスポワールシチー 父ゴールドアリュール 母エミネントシチー(母の父ブライアンズタイム)牡4歳 栗東・安達厩舎所属 馬主・友駿ホースクラブ 生産者・北海道日高町幾千世牧場 戦績17戦9勝(うち地方2戦2勝)総獲得賞金3億9033万1000円。

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2009年12月7日のニュース