【JCダート】「政権交代」印象づける1強決着

[ 2009年12月7日 06:00 ]

<JCダート>エスポワールシチーで圧勝した佐藤哲は、こん身のガッツポーズ

 【武邦の名人解説・JCダート】今年の流行語大賞ではないが「政権交代」を印象づける決戦だった。旧勢力の大将格ヴァーミリアンが見せ場もなく8着に沈み、4歳馬エスポワールシチーがワンマンショーの圧勝劇を演じた。2着には3歳馬シルクメビウスが追い上げ、3着にも3歳馬ゴールデンチケットが大外を豪快に追い込んだ。

 エスポワールは、これでブランクを挟んで4連勝。今回は逃げたが、ハナにはこだわらないタイプ。1番枠は勝因の1つではあるが、今の充実エスポワールなら外枠でも、それなりに対処できたはずだ。折り合いが付く上に卓越したスピードもある。やはり佐藤哲君を背にジャパンCを逃げ切ったタップダンスシチーを思い出した。エスポワールには非凡な“切れ”もあるので、ラストのギアチェンジが迫力満点に映る。
 ポイントは1角。外からティズウェイが果敢にハナを奪う勢いだったが、あの形ではコーナーで少し膨れる。当初2番手のエスポワールだが、コーナーワークを利して無理なく先手を取った。こうなればもう気分良くハナを切るのみ。流れは決して遅くないが、スピードの絶対値が違うので、それこそ鼻歌交じりの逃げ。4角手前で押っつけ気味の後続とは対照的に、馬なりのまま加速して行った。
 さながら1強決着。その分、次位争いは手に汗握る熱戦になった。2着に差し込んだシルクメビウスは、4角で外へはじき出される苦しい競馬。それでも最後まで伸び切るのだから力を付けた。3着ゴールデンチケットも同じような位置から素晴らしいチャージだ。この3歳両馬は、きっとエスポワールの好敵手になる。ヴァーミリアンはもう少し前のポジションでもよかったが、外から次から次へと来られたのが響いた。それにしてもふがいない。往年のパワーが薄れてきたか。(JRA元調教師)

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2009年12月7日のニュース