【菊花賞】1着スリーロールス

[ 2009年10月26日 06:00 ]

<菊花賞>勝利したスリーロールスの鞍上・浜中は、歓喜のポーズ(左が4着・イコピコ、奥が3着・セイウンワンダー)

 牡馬3冠最終戦「第70回菊花賞」が25日、京都競馬場で行われた。8番人気スリーロールスが直線抜け出し、最後に内から迫ったフォゲッタブルを鼻差抑えてクラシック制覇を成し遂げた。手綱を取ったデビュー3年目の浜中俊(20)はG1初勝利、開業32年目のベテラン武宏平師(66)は平地G1初勝利となった。

 ステッキをつかんだ左手人さし指を立てて“No・1”を示し、手綱を持ち替えると右拳を握るガッツポーズ。わずか鼻差でも浜中はゴールの瞬間に勝利を疑わなかった。
 「勝ったと確信していました。喜びを抑えきれずに思わず…。G1ジョッキーになるのが小さい頃からの夢。それが現実になってうれしい」
 弱冠20歳、気鋭の若手が2度の坂越えがある難コース攻略に成功した。最内枠からスタートを決めると内ラチ沿いで折り合いに専念。最後の最後まで脚をタメた。直線でリーチザクラウンとヤマニンウイスカーの間から先頭に躍り出た。ターフビジョンに驚いて外へ膨れたものの、最後は内から迫るフォゲッタブルと馬体を併せて闘志に再点火、接戦を制した。
 「成長力が今後の武器になると思う。この馬と一緒に僕も頑張っていきたい」
 相棒を称えた浜中は今年7月に結婚。責任ある立場になっていた。同期の藤岡康が先に、今春のNHKマイルCでG1制覇したことにも刺激を受けた。
 ベテランの武師は、うれしい平地G1初勝利を思い出深いクラシック最終戦で挙げた。シンボリルドルフが3冠を達成した84年にゴールドウェイを送り込んで惜しくも2着。日本の競馬史に残る強敵さえいなければ…四半世紀かけて、ついに念願を果たした。
 「ようやく平地G1を勝てました。夢のような気分です」
 信念が結実した。血縁関係がある武牧場の生産。自ら手がけたスリーローマンにダンスインザダークを種付けすることを依頼、生まれる前から見守っていた。このロールスを含めてG1馬が3頭誕生し、後に“伝説の新馬戦”と呼ばれる、評判馬がそろった昨年10月26日の新馬戦にも挑んだ。それだけ素質を見込んでいた。今夏の放牧を挟んで後肢の甘さがなくなり、頂点を狙える態勢が整った。
 「有馬記念を狙っています。ジャパンCも1週間ほど様子を見た上で考えてみたい」
 若手騎手とベテラン調教師のコンビが見事に融合してクラシック制覇を実現。2人はロールスとともに次の夢へ向け、さらに大きく踏み出していく。
 ▼スリーロールス 父ダンスインザダーク 母スリーローマン(母の父ブライアンズタイム)牡3歳 栗東・武宏平厩舎所属 馬主・永井商事(株) 生産者・北海道日高郡新ひだか町武牧場 戦績11戦4勝 総獲得賞金1億8795万5000円。

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2009年10月26日のニュース