ベルモントSの着順に見るブラッドストーリー

[ 2008年6月10日 06:00 ]

 【藤井正弘の血統トピック】カジノドライヴの出走取り消しに続いてビッグブラウンまさかの大敗と、世紀のアンチクライマックスとなってしまった今年のベルモントS。1カ月で3戦を勝ち抜かなければならない米3冠のタフさをまたしても思い知らされたわけだが、今回のビッグブラウンの自滅に近い敗戦は、やはり距離のカベだろう。アメリカ競馬におけるダート2400メートル戦は、BC開催に新設される同距離のレースが“ダートマラソン”という名称になったように、超長距離に属するジャンル。B級スプリンターのバウンダリー産駒には明らかに不向きな条件だった。現代の“ビッグレッド”ともいわれたビッグブラウンだが、その怪物性もあくまで血統論の範ちゅうだったということだ。

 大番狂わせを演じたダタラは、史上唯一、BCクラシック連覇を果たした名馬ティズナウの産駒。“元祖ビッグレッド”マンノウォーの末えいが敵役となったのも何かの因縁だろうか。なお、2着に入ったデニスオブコークは同族(いとこの子)で、終始余裕の逃走劇の陰には、もしかすると牝系単位の連係プレー?があったのかもしれない。
 ちなみにダタラには現在、日本で走っている半姉がいる。高橋祥厩舎所属の準オープン馬サウスヒューマー(牝4歳、父ディストーテッドヒューマー)がその馬。98年の高松宮記念勝ち馬シンコウフォレストの弟、ニューアプローチが英ダービーを制したことも合わせ、世界は狭くなったものだと実感した週末でもあった。(サラブレッド血統センター)

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2008年6月10日のニュース