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井上拓真 兄・尚弥が返上したベルト取り戻した、まず1冠で井上家の夢「兄弟4団体統一」好発進

[ 2023年4月9日 04:45 ]

WBA世界バンタム級王座決定戦   ○同級1位 井上拓真《判定》同級2位 リボリオ・ソリス● ( 2023年4月8日    有明アリーナ )

王座奪取に成功した弟・拓真(中)を祝福する父・真吾トレーナー(左)と井上尚弥(撮影・島崎忠彦)
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 WBA世界バンタム級1位の井上拓真(27=大橋)が同級2位のリボリオ・ソリス(41=ベネズエラ)に3―0の判定勝利を飾った。3年5カ月ぶりの世界王座復帰を果たし、兄・尚弥(29)との史上初兄弟4団体統一へ第一歩を踏み出した。WBC&WBA統一世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(31=BMB)は9回58秒、TKOでWBA同級4位の挑戦者アンソニー・オラスクアガ(24=米国)を下し、WBC2度目、WBA初の防衛に成功した。

 宣言通りの“完封”勝利で兄が返上した一つ目のベルトを奪取した。尚弥に見守られながら、3年5カ月ぶりに取り戻した世界ベルトを誇らしげに掲げた拓真は「今はホッとしている。まずは世界チャンピオンに返り咲くことができてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 序盤から前に出るソリスをジャブでけん制しながら右クロスを合わせ続けた。5回には偶然のバッティングで左目付近をカット。自身初の出来事にも平常心を保ち続け、コーナーを背負っても持ち前の守備力を発揮。「パンチをもらっていないし、ポイントでは勝っていると思った」と勝利を確信する圧勝劇だった。

 元WBC世界バンタム級暫定王者の拓真は19年11月、正規王者のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦に敗れ、王座から陥落。「負けてから自分のボクシングを見つめ直したことが一番大きかった」と以降はバンタム級で東洋太平洋王座、スーパーバンタム級でWBOアジア・パシフィック王座、日本王座を獲得するなど4連勝で世界戦復帰を果たした。

 2月初旬からは、12年ロンドン五輪フライ級代表の須佐勝明氏(日本連盟理事)を特別コーチとして招へい。同五輪を目指していた尚弥にステップを教えた名コーチと、細部の修正に取り組んだことが実を結んだ。それでも満足はしておらず「まだまだ伸びしろはあると感じている。今後見ておいてください」とにやりと笑った。

 史上初の兄弟4団体統一へ好発進を切った。「兄が手放した4団体を統一することを公言している以上、自分はバンタム級で4団体統一を目標にやっていく」。大きな使命を自らに課し、偉大な兄の背中を追う。

 ◇井上 拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日生まれ、神奈川県座間市出身の27歳。綾瀬西高1年時に高校総体ピン級優勝などアマ通算57戦52勝5敗。13年12月プロデビュー。15年7月、東洋太平洋スーパーフライ級王者(防衛2)。18年12月、13戦目でWBC世界バンタム級暫定王座獲得。19年11月、WBC同級正規王者ウバーリ(フランス)に判定負けで陥落。21年1月、東洋太平洋同級王者。同年11月、WBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級王者(防衛1)。22年6月、日本同級王者。身長1メートル64、リーチ1メートル63の右ボクサーファイター。

 ≪WBOでは5・13モロニ―vsアストロラビオ≫井上尚弥が返上したバンタム級4王座のうち、まずはWBAのベルトを弟・拓真が獲得した。5月13日には米カリフォルニア州でWBO王座決定戦が予定され、同級1位のジェイソン・モロニー(オーストラリア)と同級2位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)が対戦する。

 残る2王座ではIBFが決定戦を指示した同級2位エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と同級4位メルビン・ロペス(ニカラグア)は合意せず、18日に入札を実施。WBCは同級1位ノニト・ドネア(フィリピン)と同級4位アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に対戦指令が出ている。モロニー、ロドリゲス、ドネアはいずれも尚弥に敗れた選手だ。

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