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F1カーは進化する――WBA・WBC世界ライト級タイトルマッチ

リナレス(中央)は1月の沖縄キャンプで山中慎介(左)、尾川堅一と一緒に走り込んだ
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 【中出健太郎の血まみれ生活】入場時はブーイングを浴びせてきたアウェーの観客が、試合後は称賛の拍手と歓声で見送ってくれる。「メキシコや米国だと、いい試合をすると“凄かった”と声をかけてくれるんです。気持ちいいですね」。敵地での試合経験が豊富なボクシングの元WBC世界スーパーフェザー級王者・三浦隆司(帝拳)が言う。ジムの同僚、ホルヘ・リナレスの試合のテレビ解説を終えた後だった。

 ライト級のWBA王座とWBCダイヤモンド王座を持つリナレスは3月25日、英マンチェスターのリングに上がった。昨年9月に判定で下した前WBA王者アンソニー・クローラ(英国)との再戦。地元大観衆の激しいブーイングと、クローラを後押しするサッカースタイルのチャント(応援歌)に迎えられた。三浦は「前回も勝ってるのに、また敵地へ男として乗り込んできたんだから称えてもいいんじゃないか」と同情したが、ラウンドが進むたびに英国人のブーイングと声援は弱々しくなっていった。リナレスのパフォーマンスが圧倒的すぎたのだ。

 高速ジャブでペースを支配し、上下に打ち分けて相手ガードを崩し、7回には誘い込んでから放った芸術的な左アッパーでダウンを奪取。反撃してきたクローラにカウンターを狙いつつ、打ち返して後退させるタフさも見せた。同じ3―0の判定勝ちながら、初戦では1、2、6点差だった採点はジャッジ3者とも118―109の9点差。主要4団体で計12人の世界王者を抱え、高額ファイトマネーでビッグマッチを成立させるなどボクシング景気に沸く敵地・英国で、地元判定が入る余地すら与えなかった2連勝は価値が高い。

 同じくジムメートであるミドル級の村田諒太は「ホルヘはスパーリングでも、初めての相手とやる時はナーバスになる」と明かした。相手を把握した2回目から優位に立つそうで、再戦はリナレスにとって有利だったわけだ。「なにしろ天才ですから。F1カーとRX―7ぐらい、持っているものが違う」。17歳で来日し、キャリア途中からは海外を主戦場に3階級制覇した“ベネズエラのゴールデンボーイ”。相手の反応が間に合わないハンドスピードやコンビネーションで才能を輝かせる一方、打たれモロさも目立ち、確かにマイナス面も含めて「天才」という表現が似合う。

 だが、キャンプや練習を共にしてきた三浦は「努力している天才じゃないかな」とリナレスの進化を指摘した。技術やフィジカルの向上はもちろん、連続TKO負けやケガによるブランク、世界各国のリングに上がってきた経験から、何よりも「メンタル面が強くなっている」という。1月に沖縄で行った走り込みキャンプでも、途中で足を痛めてもリタイアせず、ペースを落としてでもノルマの距離を消化する姿があった。心技体充実の31歳が勝利インタビューで口にしたのは、同じく3階級制覇のWBC正規王者マイキー・ガルシア(米国)、ライト級参戦を示唆する最速2階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)への宣戦布告。場所に関係なく歓声を浴びるスーパースターへの登竜門、ビッグマッチに臨む機は熟した。(専門委員)

 ◆中出 健太郎(なかで・けんたろう) 2月に50歳代へ突入。スポニチ入社後はラグビー、サッカー、ボクシング、陸上などを担当。現在はボクシングを連日取材するほか、専門委員コラム、スポーツ部記者コラムも執筆。20年近く続いた毎日小学生新聞のスポーツコラムが3月いっぱいで終了したが、代わりに4月から本紙2面「十字路」月曜日付も担当。ネタ切れが心配な春です。

[ 2017年4月6日 09:30 ]

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