×

田中、国内最速タイ2階級制覇 尚哉に並んだ8戦目

[ 2017年1月1日 05:30 ]

WBO世界ライトフライ級王座決定戦   ○同級2位・田中恒成 5回1分52秒TKO 同級1位モイセス・フエンテス● ( 2016年12月31日    岐阜メモリアルセンター・で愛ドーム )

1R、田中の右がフエンテス(左)の顔面をとらえる
Photo By スポニチ

 WBO世界ライトフライ級2位の田中恒成が同級1位のモイセス・フエンテスに5回1分52秒でTKO勝ちし、井上尚弥と並び国内での最速記録となる8戦目での2階級制覇を達成した。21歳6カ月での2階級制覇は井上尚を2カ月上回る国内最年少記録。試合後には同じ階級の八重樫、田口ら日本人世界王者との対戦を熱望した。

 本人の予想を上回る完勝劇で2つ目のベルトを勝ち取った瞬間、田中は両拳を天に突き上げて喜びを爆発させた。日本人最速タイで、最年少での2階級制覇。陣営が「過去最強」と評したフエンテスを危なげなく退けてみせた。

 「出来すぎ。2階級王者を目指してやっているわけではないけど、強い選手に勝てたことがうれしい。じいちゃんもこうやってリングに来てくれたので…」。リング上にはミニマム級で初防衛した1年前に続き、15年11月に死去した祖父・健裕さん(享年73)の遺影を小学3年の妹・杏奈さんが持って登場。生前、毎試合応援に来てくれた亡き祖父にささげる2つ目のベルトでもあった。

 試合序盤から「予想よりかなり良かった」と相手より自身が上回っていると感じた。それでもフエンテスは簡単には倒れない。「心を折ってやろうと思った」とコツコツと顔とボディーに有効打を打つ作戦に出た。「相手が立てなくて倒れるのではなくて、自分の意思で倒れるように仕向けました」。5回に右ストレート、左フックと連打でロープ際で攻め立てるとスタミナ切れした相手は戦意喪失。畑中ジムの先輩である杉田竜平さん、中京高時代の恩師・石原英康さんの2人がいずれも世界王座獲得を失敗した岐阜で勝利を飾り「すいません、俺は勝ちました!」と、してやったりの表情も浮かべた。

 「同階級に日本人王者がいる。こういうチャンスがあるのでやってみたい」。今後の目標は八重樫東ら日本人王者との対戦。畑中会長は「近い将来、そういう大きい試合を狙ってます。挑みます」と宣言した。最終目標は5階級制覇という田中にとって、この勝利はあくまで「通過点」。“中京の怪物”は正真正銘の全国区になるべく17年をさらなる飛躍の年にする。

 ◆田中 恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日生まれ、岐阜県多治見市出身の21歳。中京高―中京大。小5で競技を始め、高校4冠。アマ通算46勝5敗。高校3年だった13年夏の総体後に畑中ジムに入門、9月にプロテストB級合格。同年11月デビューから4連勝で東洋太平洋ミニマム級王座、15年5月にWBO世界ミニマム級王座を獲得し、1度防衛。16年からはライトフライ級に転向。1メートル64・1。右ボクサーファイター。

続きを表示

2017年1月1日のニュース