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しょっぱくてゴメン…内藤傷だらけのV5

[ 2009年5月27日 06:00 ]

7年ぶりダウンを喫しながら判定勝ちした内藤大助は、試合後「しょっぱい試合をして申し訳ありません」と頭を下げる

 WBC世界フライ級タイトルマッチが26日、東京・ディファ有明で行われ、王者・内藤大助(34=宮田)が薄氷の判定決着で5度目の防衛に成功した。中国男子として初の世界挑戦となった同級10位・熊朝忠(26)にダウンを奪われるなど大苦戦し、何とか3―0で判定勝ちした。34歳8カ月の内藤は自ら持つ日本人の世界王座最年長防衛記録を更新。5連続防衛は元WBA王者の故大場政夫(帝拳)に並ぶ日本人フライ級世界王者の最多記録となった。

 顔面の傷跡が想定外の激闘を物語った。偶然のバッティングで負った両目上の傷。口の中にも裂傷を負い、血が止まらない。伝説の王者・故大場政夫に並ぶ5連続防衛には成功したが、内藤は「しょっぱい試合をして申し訳ありません。途中から倒しに行ったけど、うまくいかなかった。相手をなめてはいなかったけどボクシングは難しい」とうなだれた。

 自分より12・5センチも低い1メートル50・5の熊朝忠に戸惑った。低い相手の頭によるバッティングを気にしてペースをつかまれ、6回には右フックをあごに被弾。尻もちをつくようにダウンした。「気付いたら倒れてたもんな…。タイでは記憶飛んだけど、きょうはすぐに意識が戻った」。ダウンは02年4月、世界初挑戦で1回34秒にKO負けして以来だった。終盤に作戦を切り替え、頭から跳び込んでくる相手に右アッパーを合わせ、ポイントを稼いで逃げ切った。

 試合3日前の23日、中国・上海から試合会場が東京に変更となった。手続き上の不備で現地体育館の使用許可が下りていなかった。異例の前座なし、ワンマッチでの世界戦。敵地で気楽に試合に臨めるどころか「きょうの1試合のために大金を払ってきてくれたファンに恩返しがしたかった」と気負い、KOを意識しすぎたことも苦戦の原因だった。かつては真弓夫人(36)とアルバイトの共働きで月収12万円の極貧生活を体験も、この試合のファイトマネーは7000万円(推定)。今やテレビ視聴率が常に20%以上を記録する男が、地元での防衛戦で「国民の期待」を裏切るわけにはいかなかった。

 苦戦した王者には試練の2連戦が待つ。この日、WBC本部から日本ボクシングコミッションに通達が届き、暫定王者ポンサクレック(タイ)と90日以内の統一戦、さらに90日以内に同級1位ポノムルンレック(同)との指名試合が義務付けられた。実現すれば5度目の対戦となる宿敵ポンサクレック戦に向け、内藤は「あれはバケモノ。やりたくねえな」と口をとがらせたが、「また練習して最高のパフォーマンスが出せるようにしたい」と今後も期待に応え続けることを約束した。

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2009年5月27日のニュース