【古田敦也氏が語るWBC(下)】1次ラウンド突破へ「キーになる国はやはり韓国」

[ 2023年2月17日 06:30 ]

侍ジャパンは史上最強と語る古田敦也氏
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 3月開幕の野球世界一決定戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。栗山監督の下、世界一奪還を目指す侍ジャパン。6年ぶりの今大会はテレビ朝日系列、TBS系列が地上波独占生中継する。今回は、テレビ朝日でWBC解説を担当する古田敦也氏に、今大会の見どころを直撃した。

 ――栗山監督の人となりを教えてください。
 野球選手らしからぬ方と言いますか…。キャンプでは、新人と、教育係としてある程度の経験のある選手が同部屋になるのですが、僕が新人で入って来たとき、キャンプ時の1カ月間は、同じ部屋で2人一緒に生活していました。もちろん先輩後輩だから、厳しい方だと雑用をやらされたりもするんですが(笑い)、栗山さんはそういったことは一切なかったですね。プロの厳しさや生き方を初めてのキャンプでいろいろと優しくお話ししてくださり、教えてくださいました。一番最初にお世話になった方ですので、今でも非常に恩を感じています。ボールに食らいついて、一生懸命走って、という栗山監督が選手だった時代の自分のプレースタイルをチームに反映するというよりは、日本ハムで10年監督をされたなかで培った、点の取り方、勝ち方のノウハウを持っているでしょうし、その経験から今回のメンバー選出もされたのではないかと思っています。

 ――栗山監督の監督としての特徴は?
 固定観念にとらわれず、時代に即し、柔軟に対応しています。当時18歳の大谷ら話題性のある選手が入って来て、彼らをどうやって育てていくのかに注目が集まる中で、しっかり結果を出させてメジャーへ巣立たせたわけですから。局面、局面で結果を残されている監督なのは間違いなく、野球観を押し付けるというより、選手側の意見を聞く耳もお持ちだと思います。電話をしたり、手紙を書いたり、丁寧な選手へのケアを含め、今の時代に即したリーダー像と言えるのでないでしょうか。

 ――1次ラウンドですが、世の中は「突破は当たり前」という雰囲気です。
 勝ち上がると思いますよ。キーになる国はやはり韓国。トップランクの選手のレベルで言えば、そこまで日本有利とも言えないと思います。調子の良いピッチャーをどこでぶつけるのかなどの、日本戦への戦略も練ってきますから、心してかからないといけません。
「アメリカをやっつけに行く」と栗山監督はおっしゃっていますが、もちろん、米国、ドミニカ共和国が抜けているとはいえ、今回はレベルが高い。プエルトリコ、ベネズエラなど、注意が必要な国はたくさんあります。それと、ボールも普段慣れ親しんでいるものとは異なります。大きさや重さはほぼ一緒なのですが、少し滑りやすいんです。日本のボールは質が良くて、気候的に湿気もあるので指になじむ。決勝ラウンドの米国は乾燥していますので、日本よりはなじみにくい。ピッチャーに関しては、細やかなケアをし、早く慣れないといけないという課題もあります。

 ――キャンプのニュースなどがこれから多くなると思いますが、どのようなところに注目すればいいでしょうか?
 例えば、ダルビッシュが宮崎キャンプから参加すると、スポーツニュースだけではなく、ワイドショーなどでも取り上げられる機会が増えると思います。目にすることが多くなるといやが上にも期待値は上がっていく。2月20日が過ぎると侍ジャパンシリーズや強化試合も始まりますので、さらに注目です。我々も中継で、全力で解説、応援したいと思っています。日の丸を背負った若い選手の躍動を、ぜひ観ていただきたいですね。

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