【古田敦也氏が語るWBC(上)】「史上最強」侍ジャパン 注目は大谷の打順

[ 2023年2月17日 06:30 ]

古田敦也氏
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 3月開幕の野球世界一決定戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。栗山監督の下、世界一奪還を目指す侍ジャパン。6年ぶりの今大会はテレビ朝日系列、TBS系列が地上波独占生中継する。今回は、テレビ朝日でWBC解説を担当する古田敦也氏に、今大会の見どころを直撃した。

 ――今回は各国が本気で挑んでいると言われていますが要因は?
 野球というのは、やはりアメリカのメジャーリーグが最高峰と言われていて、年間50億円以上の高額契約を球団と結んでいる選手もいます。WBCが開催される春先のこの時期は、まだ体が仕上がっていない段階で、無理をするとケガの恐れがあるなどの理由もあり、メジャーの球団側が各国の代表にあまり選手を派遣したがらないんです。それで選手も辞退して、トッププレーヤーがWBCに出場しないことが多かったのですが、今回は、大谷選手の同僚で、MVPを3度も獲得している超一流選手、マイク・トラウト(エンゼルス)がWBCへの参加を呼び掛けたことも大きいんです。アメリカが野球で負けていてはだめだという強い思いに賛同するトップ選手が続出。球団側とも交渉し、出場への道が開けたんです。日本代表に関しても、今回はメジャーリーガーが5人選出されていますが、各球団と交渉して成立したわけです。そういった意味でも、今回はこれまでよりもレベルの高い大会になることは間違いないと思います。

 ――出場する選手の顔ぶれを見て、これまでの大会とは明らかに違う?
 これまでにも、何人かはメジャーでもトップとされる選手の出場はありましたが、特にアメリカの野手陣に関しては、今回は余っているほどですから。余っているというのは、誰がレギュラーで出るのか見当もつかない。外野手だけでもトラウトもそうですが、ムーキー・ベッツ(ドジャース)、カイル・タッカー(アストロズ)といったスーパースターがそろっているんです。良い選手がたくさん集まっているので…。いったい彼らのもらっている年俸を合わせると、総額がいくらになるのか(笑い)。凄いと思います。

 ――アメリカだけではなく、中南米の国なども豪華メンバーに?
 まだ決まり切っていないのでわかりませんが、ドミニカ共和国などは、メジャーのトップをほとんど集めている。ドミニカは特にピッチャーが、良い選手がそろっているんですよ。

 ――それに対して、日本代表のメンバー選考は?
 史上最強と言っていいと思います。平均年齢も若く、日本で活躍する村上が4番を打つんじゃないかと言われていますが、彼の前後を打つのが大谷翔平、鈴木誠也、日系人で初めて選出されたラーズ・ヌートバー(カージナルス)らメジャーリーガーたちだと思うんです。特にヌートバーは母親が日本人で、ニュース番組でも特集されたりとあまり野球に興味のない方にも広く知られてきましたね。彼のキャラクターやプレーに、より興味が注がれていくのではないでしょうか。肩も強いし、体も大きい。それでいて、走っても速いです。

 ――改めて、選出された30名を見て、栗山監督はどんな野球を目指していますか?
 30名中、15名がピッチャーなんですね。日本の野球は、守り切ることとよく言われますが、基本的には投手陣が失点を少なくして、ロースコアのゲームでも勝てるチームづくりをされていると感じます。WBCは相手チームのピッチャーの情報も少なく、しかも短期決戦で、なかなか点が取れない痺れる展開が多い。しかし、今回はホームランを打てる選手も多数選出されています。村上だけではなく、メジャー勢、岡本和真(巨人)など、長距離砲の選手がいますから。長打を期待できる選手を入れていることで、打線に厚みが増しています。守備力に加えて、得点力もあるチームだと思います。

 ――注目される選手は?
 やはり、大谷には注目しています。いったい彼が何番を打つのか。3番か4番なのか…となるのですが、今回は他にも長打を期待できる選手がそろっていますから1番とか2番でも使えるのではという話もあります。村上、鈴木誠也、岡本もいますし、大谷は長打力に加えて足も速いですから。劣勢になっても跳ね返すくらいの得点力という意味では非常に期待値が高いですよね。

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