なぜ誠也が必要だったのか 再建中のカブスが求めるものとは?

[ 2022年3月17日 05:35 ]

カブスと基本合意したことが分かった鈴木誠也
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 ポスティングシステムを利用してメジャー球団と交渉していた広島の鈴木誠也外野手(27)が、カブスと合意したことが16日(日本時間同日深夜)、分かった。米スポーツサイト「ジ・アスレチック」によれば、5年総額で8500万ドル(約100億円)。日本野手の渡米時では07年オフに中日から同じくカ軍へ移籍した福留孝介(現中日)の4年総額4800万ドル(当時約54億2400万円)を上回る歴代最高額となった。近日中に正式契約を結ぶとみられる。

 カブスは昨年7月末のトレードデッドラインで主力を大量放出し、16年ワールドシリーズで優勝したチームを完全に解体した。そのトレードで獲得した多くの若手有望株たちが育つのを待ち、再建期へ移行した。本格的に優勝を目指すのは2、3年後。その中心となる選手を探していた。その存在こそがSEIYA SUZUKIだった。

 現エンゼルスのジョー・マドン監督に率いられた16年、ワールドシリーズでインディアンス(現ガーディアンズ)を4勝3敗で下し、108年ぶりの優勝を果たした。その中心となったアンソニー・リゾ、クリス・ブライアント、ハビアー・バエスというチームの顔ともいえる3人の内野手を、昨年7月末にそろって放出した。既に高額年俸で、オフにFAを控えていたスター選手たちを抱えることができず。前半戦は首位争いも演じたチームは、その後急失速して71勝91敗の借金20でナ・リーグ中地区4位に沈んだ。

 獲得した若手たちの成長を促していくが、それでも中心となるリーダーが必要となる。その存在が鈴木誠には期待される。鈴木誠自身、1年目は慣れないメジャーへの適応が求められる。過去の日本選手をみても、投手と違い野手は2年目以降に成績を上げていく傾向が強い。若手が力を付け始め優勝を狙えるようになる2、3年後に、鈴木誠もメジャーへの適応を終え、真価を発揮できるタイミングとなる。まだ27歳と若く、5年という長期契約期間を考えても、チームの狙いは今年ではなく数年先。鈴木誠が求めていた「優勝争いができるチーム」が本当にできあがるのはその頃で、鈴木誠は30歳前後と脂の乗った時期に中心打者として引っ張ることが期待される。

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2022年3月17日のニュース