阪神・佐藤輝の「ギータ化計画」! 柳田育て上げた藤井康雄新コーチ 「改善策はある。力出せるように」

[ 2021年11月17日 05:30 ]

練習中のナインにあいさつする藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(撮影・大森 寛明)
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 阪神は16日、西宮市内で藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(59)の就任を発表した。背番号は81。年俸は1800万円(推定)。球団初の巡回打撃コーチ誕生は、後半戦でスランプに陥った佐藤輝の2年目の飛躍に向けたプランの最大の目玉。ソフトバンク・柳田らの指導実績をもとに、秋季練習、来春の沖縄・宜野座キャンプでの指導も決定した。

 佐藤輝の「ギータ化計画」が始動する。その目玉が現役時代に282本塁打の実績を持ち、打撃コーチとしてもオリックスでT―岡田、ソフトバンクで柳田らを育てた藤井1、2軍巡回打撃コーチの就任だ。球団初の「巡回コーチ」は2軍だけでなく、1軍で佐藤輝をレベルアップさせるための肩書だ。

 「前例がない肩書は身に余る光栄です。持っているものを選手に伝えて、個のいいものを100%出させる指導をしていきたい」

 入団会見前には球団フロント幹部、矢野監督、平田2軍監督とも話し合いを持ち、今後の基本方針を確認。その場で現在、甲子園で行われている野手組の秋季練習に近く参加することが決まるとともに、来年2月のキャンプも沖縄・宜野座の1軍組から指導していくことが内定した。

 鉄は熱いうちに打て。佐藤輝にも早い段階で進むべき道をつけたい。矢野監督からは「こうやったら感じ変わったな、良かったなというのを春に持って行ってもらいたい」と早々の指導を依頼された。球団新人記録を塗り替える24本塁打を記録した佐藤輝だが、後半戦はわずか4本塁打。59打席連続無安打やシーズン173三振と急降下した。シーズン中に痛めた左ヒザの影響もあるが、相手のマークでフォームが崩れたことは否定できない。

 藤井コーチは言う。「すごい選手なのは間違いない。柳田タイプで飛距離は大谷クラス。能力はあるから、そこに戻していくだけ。こうしたらいいというのは思っている。改善策はある。年間通して、力を出せるようにしていきたい」と成長への青写真を描く。

 打者それぞれが生まれながらに持つ重心に合わせて指導する「4スタンス理論」で多くの打者を育ててきた。ソフトバンクの打撃コーチ就任は柳田の入団と同じ11年。マンツーマンで鍛え上げ、15年には打率・363、31本塁打、99打点のスラッガーに引き上げた。「柳田も佐藤輝も回転型の打者だと見ている。性格も似ているんじゃないかな。勝負強さではメンタルの部分もある。その点も話をしたい」と通算14本の満塁弾を放った極意も伝授する構え。甲子園での初指導に注目が集まる。(鈴木 光)

 ◇藤井 康雄(ふじい・やすお)1962年(昭37)7月7日生まれ、広島県出身の59歳。泉州からプリンスホテルを経て86年ドラフト4位で阪急(現オリックス)入団。プロ野球歴代3位タイの満塁本塁打14本など通算1641試合で打率・252、282本塁打、861打点。02年の現役引退後はオリックス、ソフトバンクで指導しスカウトも務めた。20年6月に関西創価硬式野球部コーチに就任。

 ▽4スタンス理論 人の身体特性に応じた適切な体の使い方は、生まれつき4種類存在するという理論。広戸聡一氏が提唱して広まった。スタンス(立ち方)は自然に重心位置が異なり、それを「爪先側(A)」「かかと側(B)」「内側(1)」「外側(2)」のA1、A2、B1、B2タイプに分類。立ち方や体の形、動かす各部位の順序などで選別。4タイプにスポーツのパフォーマンスにおける優劣はなく、個々の特性を理解して体を動かすことで最大限の力を出すことを目指す。

 ▼阪神・嶌村球団本部長 巡回というのは私の記憶ではこれまでなかったと思いますが、これだけ実績のあるコーチで、理論もお持ちで確立されているので、そこが招へいの理由。1軍、2軍にとらわれず指導をしていただく。あくまでも本籍はファームですが、住民票は1軍に持って行ったりということもある。全員を見ていただこうという趣旨です。

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