智弁学園が20度目の夏 ドラフト候補の1番・前川から初回12人攻撃で一挙6点 5球団スカウト熱視線

[ 2021年7月30日 05:30 ]

全国高校野球選手権奈良大会決勝   智弁学園6ー4高田商 ( 2021年7月29日    佐藤薬品スタジアム )

奈良大会決勝<智弁学園・高田商>優勝を決め、喜ぶ前川(左から4人目)ら智弁学園ナイン(撮影・坂田 高浩)
Photo By スポニチ

 握りこぶしを突き上げて、前川右京(3年)外野手は歓喜の輪に加わった。先発した小畠一心は号泣。2点差を守り切り、今春選抜8強の智弁学園が2大会連続20度目の夏の甲子園出場を決めた。

 「プレッシャーはありました。でも、苦しくても下を向かずに、前に進もうとやり続けることができた」

 プロからも注目される高校通算35本塁打の左のスラッガーが、1番起用4試合目の決勝でもチームのためにミート打撃に徹した。1点を追う初回先頭では中前打で12人攻撃6得点の口火を切り、一巡した2度目の打席は右前適時打。1イニング2安打で主導権を握った。

 3安打1打点で締めくくり、今大会は14打数9安打、打率・643で打線を引っ張った。5球団のスカウトも熱視線。阪神・山本宣史スカウトも「長打力が魅力だが、コンパクトにも振れている」とチェックした。

 5月の誕生日に2歳上の兄・夏輝さんから贈られた打撃手袋をして決勝に臨んだ。右には「夢」、左には「叶(かな)う」の文字。「長打を打つのがベストだけど、強いライナーで勝利に貢献することが大事」と打ち続けた。

 1年夏から甲子園を経験し、昨年の交流大会を含めて4度目の聖地を決めた。今春選抜でも10打数2安打。甲子園での本塁打はまだない。「日本一を目指し、明るく力を出し切る」と前川は狙いを定めた。(鈴木 光)

《58年ぶりへあと一歩届かず》敗れた高田商はDeNA・三浦大輔監督の母校で、58年ぶりの甲子園へあと一歩届かなかった。初回6失点の劣勢でも諦めない。2番手右腕・合木凜太郎が140キロ台の手元で伸びる直球で追加点を阻止。9回には2点差に迫り、なお1死一、三塁まで攻め、赤坂誠治監督も「苦しい中でも選手は最後まで頑張った」と健闘をたたえた。

続きを表示

2021年7月30日のニュース