西武・愛斗、プロ初本塁打含む2発 値千金の逆転決勝3ラン

[ 2021年4月10日 05:30 ]

パ・リーグ   西武7ー4ロッテ ( 2021年4月9日    ZOZOマリン )

<ロ・西>プロ初本塁打のボールにかじりつく愛斗(撮影・沢田 明徳)
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 未完の大器。そう呼ばれながら何人の選手が消えていったことだろう。なかなか芽の出なかった西武・愛斗もそう呼ばれる存在だった。昨日までは――。

 「軽く振ってみろ」

 昨秋、2軍首脳陣のもと、大幅な打撃改造に取り組んだ。トップの位置、タイミングの取り方、バットの出し方、力の伝え方…。5年目のシーズン、わずか7試合の出場にとどまり「試合に出ないことには意味がない」と全てを変えた。背中にバットが触れるほど大きかったフォロースルーを封印。力の入れ具合は「前を100とすると20。50ぐらいと思うと100になってしまうので」。負けん気が強く、闘志むき出しの男なりに考えた「控えめ」の意識だった。
 昨年12月。室内練習場でたった一人、マシンと対峙(たいじ)し、感覚の違いを実感した。年末に地元・大阪で、かつて所属していた浜寺ボーイズの練習に参加した際には「めっちゃ軽く打っているのに今までと飛距離が変わらない」と新フォームへの自信が確信に変わった。

 チームの「プロ初本塁打ラッシュ」に乗った。新人のブランドン、渡部、若林、さらに6年目の呉念庭(ウーネンティン)に続き、12試合で早くも5人目。2回に二木から放った先制のプロ1号は、左翼席への完璧な当たりだった。1点を追う8回1死一、三塁で小野の低め直球を捉えた値千金の逆転3ランは、ライナーで右中間のホームランラグーン席へ。驚異の弾道に辻監督も「引っ張りにいかず、素直に打った結果がホームラン。もう本当に救ってくれたよ」と目尻を下げた。

 開幕1軍入りを逃したが「圧倒的な数字を残す」と誓い、2軍で打率・426、4本塁打、6打点の数字を残し、8日に1軍昇格したばかり。2本の劇弾でチームの連敗を3で止め「とにかく勝てたのがうれしい」と笑った。覚醒した新生・愛斗が、20の力でありったけの思いをぶつけていく。(花里 雄太)

 ≪1号&2号は15年ぶり4人目≫愛斗(西)がプロ1号を含む2本塁打。チームでプロ初本塁打を放った試合で2号も記録したのは、01年7月1日日本ハム戦の高山久、04年7月24日近鉄戦の中村、06年3月29日ソフトバンク戦の炭谷(現巨人)に次ぎ15年ぶり4人目。

 ◆愛斗(本名・武田愛斗=たけだ・あいと)1997年(平9)4月6日生まれ、大阪府出身の24歳。花咲徳栄3年夏の甲子園では4番として8強入りに貢献し、15年ドラフト4位で西武入り。新人だった16年7月に登録名を現在の「愛斗」に変更。19年4月25日ロッテ戦の延長10回に決勝適時二塁打を放ち、プロ初安打、初打点をマーク。同年は自己最多42試合に出場。1メートル77、92キロ、右投げ右打ち。

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2021年4月10日のニュース