大谷 メジャー自己最長143メートル弾!イチロー&ボンズ理論で“進化の予感”

[ 2021年3月5日 02:30 ]

MLBオープン戦   エンゼルス6―2レンジャーズ ( 2021年3月3日    テンピ )

<エンゼルス・レンジャーズ>5回、オープン戦初本塁打となる2ランを放つエンゼルス・大谷(エンゼルス提供)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が3日(日本時間4日)、レンジャーズとのオープン戦に「2番・DH」で出場し、5回にメジャー自己最長の飛距離468フィート(約143メートル)の2ランを放った。オープン戦でのアーチは米移籍後初めてだ。日米通算4367安打のイチロー氏、メジャー歴代最多通算762本塁打のバリー・ボンズ氏らに共通する打撃理論から生まれた豪快弾。4年目の進化を予感させた。 

 
 高めの速球。見逃せばボール球だったかもしれない。5回無死二塁。大谷が若手右腕クラウスの8球目を捉えた大飛球は中堅420フィート(約128メートル)、高さ32フィート(約9・8メートル)のバックスクリーンを軽々と越えていった。

 「(右翼から左翼方向に)風もあったので、飛距離がどうのこうのは分からない」と謙遜したが、手応えは十分だった。「ある程度、良い角度で上がっているということは良い軌道で捉えているということ」。打球速度107マイル(約172キロ)で、飛距離は468フィート(約143メートル)。1年目の18年4月6日アスレチックス戦で記録した過去最長449フィート(約137メートル)を大きく超えるアーチだ。

 大リーグ公式サイトは「大谷がバックスクリーンを越える“モンスターホームラン”を放った」と伝えた。アリゾナ特有の乾燥した気候は打球が飛びやすいとされるが、それでも驚きの飛距離。今季導入された低反発球の影響も全く感じさせなかった。

 初出場した1日のホワイトソックス戦でも2安打。現状を「上体がしっかり残っている段階で打ちにいくかどうかを下半身で決めている気がするので良い傾向」と自己分析する。この考え方は2人のレジェンドと重なる。大谷が尊敬するイチロー氏は「僕の打撃の最大の特徴はトップでグリップエンドが左耳横でキープされること」が持論。同氏がマーリンズ時代に打撃コーチだったバリー・ボンズ氏も「打撃は打つ前に腹部が投手方向に向いたら終了」と表現していた。

 この日、大谷は打席途中に上半身が投手方向へ向かないよう、右手で左肩を押さえながらバットの出し方を確認する場面があった。右肩を開かず、トップをぎりぎりまで残すことによってボールとの「距離」が確保でき、対応力が上がる。ジョー・マドン監督も「バランスもアプローチもいい。これまでの大谷には高めの速球は基本的に厳しかったが、比較的簡単に打っている」と目を細めた。

 大谷の言葉には確信がこもっていた。「スイングも良かったし、見送っている感じも、見え方も良かった。もっともっと良くなると思う」。今キャンプでは投手としても既に100マイル(約161キロ)を記録。巻き返しを期す4年目、投打でスケールアップしている。(テンピ・笹田幸嗣通信員)

 ≪昨年で8位タイの飛距離≫大リーグ公式サイトの動作解析システム「スタットキャスト」でデータ分析を担うデービッド・アドラー記者が、大谷の本塁打を検証した。「468フィートは20年シーズンで8位タイの飛距離に相当する」と指摘し、打球速度107マイルについても「最高級の数字ではないが、20年のメジャー全本塁打の平均速度103・6マイル(約167キロ)をかなり上回る速度だったことは間違いない」と評価。「今季は低反発球とはいえ、とてつもないホームランを打ち続けるだろう」と太鼓判を押した。

 順調な調整ぶりを踏まえ、今季の成績を「間違いなく20~30本塁打は打つだろうし、10~20盗塁できるかもしれない」と予想。18年の22本塁打、19年の12盗塁を上回るキャリアハイを期待した。

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