DeNA・山下幸輝「ハマのウエートキング」に進化 「無欲」の一振りがチームを救う

[ 2020年8月30日 10:00 ]

DeNA・山下幸輝内野手
Photo By スポニチ

 2年ぶりの1軍舞台。パワーアップしたDeNA・山下幸輝内野手(27)が、その喜びをかみしめ、目いっぱい楽しんでいる。

 「(昨年限りで)クビだと思っていたので、せっかくの期間に何かを大きく変えようと思いました」

 新型コロナウイルスによる自粛期間。山下はウエートトレーニングに精を出すことを決めた。上半身と下半身を一日おきに、毎日約1時間汗を流す。さらにボディービルダー・山本義徳さんがYouTubeで「プロテインとバナナを一緒に食べれば体が大きくなる」と話していたのを見てから、暇さえあればバナナを口にする。一日6本ほど食べ、プロテインも5、6回飲む。その成果は鍛え上げられた体となって表れ、体重は7キロ増えた。

 自信も得た。「パワーが付いたのもそうですけど、調子がいい期間が長く続いている気がします」と表情も明るい。さらに「打てなくなった時の戻れる場所というか、ウエートをすればまた打てるとポジティブに思えています。“山下=ウエート”みたいな、自分の取り柄みたいなものができました」。精神的にも、いい効果が出ているようだ。大学時代、寮で捕まえたゴキブリをペットボトルの中で飼育していたことから「ムシキング」の愛称が定着したが、実はあまり虫好きではないのだという。「ハマのムシキング」は「ハマのウエートキング」へと進化を遂げている。

 昨季は1軍出場なしに終わったが、プロ6年目を迎えた今季は7月14日に昇格を果たすと、22試合に出場し、打率・292(29日現在)。代打での打率は・333と勝負強さが光り、ラミレス監督からも「一番重要な場面は山下を使います」と切り札に指名されている。

 「1軍で試合に出られると思っていなかったので、出られることがうれしい。ここまで結果を求めずにやってきて結果が出ていて、人間はこうなると結果が欲しくなっちゃう。でもそこを我慢して、とにかく楽しむことだけを意識してやっていきたいです」

 野球を楽しむ山下の「無欲」の一振りが、これからもチームを救う。(記者コラム・町田 利衣)

続きを表示

2020年8月30日のニュース