巨人・桜井 “真逆”の強気で今季初勝利 圧巻「ソトへの内攻め」

[ 2020年7月3日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―3DeNA ( 2020年7月2日    東京D )

自己最長の8回1失点で今季初勝利を挙げた巨人・桜井(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 巨人・桜井は幼少期、内気な性格だった。中学2年時の文集には自身の性格を「普通」と書いている。集合写真では、いつも最後列に立つ少年だった。

 今季初勝利の要因はその真逆。強気の投球だ。「厳しいコースを狙った。コースを間違えないように」。自己最長8回を2安打1失点。負ければ首位陥落だった正念場で好投し、チームは優勝した14年以来、6年ぶりの開幕から4カード連続負け越しなしとなった。

 圧巻は「ソトへの内攻め」。天敵のバットを粉砕した6回1死二塁だ。昨年は3本塁打を浴び、8打数4安打と打ち込まれたが「去年は去年。相手を超えることができるように」と懐を攻めた。直球を3球連続で内角に投げて遊ゴロ。プロ入りから4戦全敗だったDeNAへの苦手意識も、完全払しょくした。

 プロ入り後も幼少期の弱気な性格が時々出る。そのたびに「かわいいから。少し注射を」と原監督に引き戻してもらった。8勝を挙げた昨年は監督室に呼ばれ「攻めの気持ちが足りない」と指摘された。この日は過密日程の中で中継ぎ陣を休ませるために「完投すると考えていた」と言うほど頼もしく育った。

 攻めの投球は数字にも表れた。初球ストライク率は61%。逃げることなくチームの先発陣で今季最長回を投げた。指揮官からは「呼び水、追い風にしたい」と評され「勝ち星も重ね、お金も稼がないといけない」とさらなる期待をかけられた。

 今季年俸は3000万円。内気だった中学時の文集に大金の使い道を「貯金」と書いた桜井は「次は完投できるように」と言った。その口ぶりに、もはや弱気はない。 (神田 佑)

 ≪4カード以上負けなし 過去V率は64%≫巨人は開幕から阪神に3連勝、広島に1勝1敗1分け、ヤクルトとDeNAに2勝1敗と、まだ負け越しカードがない。巨人が開幕から4カード以上連続で負け越しなしは、14年の4カード以来6年ぶり12度目。原監督にとっては、06年の9カード、前記の14年に次ぎ3度目になるが、巨人では水原茂(のちに水原円裕と改名)、川上哲治に並ぶ最多回数になった。なお、チームが開幕から4カード以上負け越さなかった過去の11シーズンを見ると、7度は優勝。V確率は64%になるが、今季はどうか。

続きを表示

この記事のフォト

2020年7月3日のニュース