広島・山口、遠藤…恩返しのため必死にもがく“佐々岡チルドレン”

[ 2020年3月2日 08:00 ]

広島・山口
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 「チルドレン」との新たな物語が始まる。広島・佐々岡監督は、春季キャンプで若手投手への苦言を隠さなかった。「期待していた遠藤、山口は(宮崎・日南1次キャンプから)良くなかった。投手の方は不安です」。1軍投手コーチだった昨季は、個人名を挙げて責めることは、ほとんどなかった。それだけに、キャンプインから低調だった2人に対して、いかに歯がゆい思いをしていたかが伝わる。

 今季高卒3年目の山口翔と遠藤淳志の両右腕は、入団時に2軍投手コーチだった佐々岡監督から指導を受けた。1年目の当時、2軍首脳陣から「おまえらは2軍で競い合っていても仕方ないから。一緒に1軍で切磋琢磨(せっさたくま)するんだぞ」と何度も伝えられていたという。

 山口は2軍に降格したが、春季キャンプ中に指揮官への思いを口にしたことがあった。「僕は厳しく言われることもあります。でも、ずっと見てもらってきましたから。監督に恩返ししたいな…という気持ちは本当に強いです」。遠藤は「(ハッパを)プラスに捉えないと、投げていけないですから」と記事を通して目にしたメッセージに奮起した。

 佐々岡監督は、オフ期間に参加したトークショーで成長を期待する選手の話題に、大卒3年目右腕のケムナ誠投手を挙げたことがあった。「2軍のコーチとして1年目を見ていたのですが、2軍の試合にも投げられなかった。そんな選手が昨季のシーズンの最後に1試合投げられた。ここまでよく頑張ったな…と思いました」。“教え子”の成長に人知れず心を動かされていたのだ。

 立場上、彼らを特別扱いすることはない。それでも「チルドレン」は、期待を敏感に感じ取りながら、恩返しのために必死にもがいている。(記者コラム・河合 洋介)

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