斎藤隆氏が証言 打者・大谷を150キロ台の直球と緩い変化球では抑えられない

[ 2018年4月5日 07:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス13―2インディアンス ( 2018年4月3日    アナハイム )

<エンゼルス・インディアンス>初回2死二、三塁、右中間へ3ランを放つ大谷
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 メジャーで7年間プレーし、現在はパドレスの球団アドバイザーを務める斎藤隆氏(48)が、現地アナハイムでNHK BS1の解説者として、衝撃の本拠地デビューを目撃。投手目線から「打者・大谷」の適応力とこの試合が米球界に与えたインパクトの大きさについて語った。

 この試合の大谷を見た他球団のスカウトは「本気で対策を考えないといけない」と思ったに違いない。本塁打は低めのカーブだったが、直前に同じ軌道を2球見ていたので、イメージ通りのスイングで、打球に角度をつけることができた。

 投手にとってショックが大きいのは、むしろ8回の中前打ではないか。マカリスターは4球連続の直球で追い込み、この時点で大谷は振り遅れていた。5球目は落ちる球(ボール)で誘い、6球目は95マイル(約153キロ)の直球を投げたが、それを詰まることなく、火の出るようなライナーではじき返された。次の打席で修正するならまだしも、1打席の中で、それもカウント2―2と追い込んでいる状況で対応された。

 この試合の3安打を見れば、緩い変化球と150キロ台前半の直球では簡単には抑えられないと分かったはず。あとはメジャーの超一流の投手が投げるフォークのようなえげつないチェンジアップや、160キロ近いムービング系の球にどう対応するか。逆に言えば、その2つしか有効な球はないかもしれない。

 大谷自身もまだ打球に本来の角度はついていない。開幕戦は全てボールの上を叩いてゴロになっていたし、この日の本塁打以外の2安打も打球が上がっていれば長打になっていただろう。まだ完璧でないことが、大谷の凄さを際立てている。

 一番驚いているのはエンゼルスの関係者かもしれない。二刀流と聞いていても、どこかで「本当に両方できるのか」という思いがあったはず。そんな疑念を吹き飛ばす3安打。大谷は「Game Changer」、ベースボールの常識を変える男になれると確信した。(パドレス球団アドバイザー)

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