マー君 ライジングカット 一緒に練習の美馬「うお!何だこれ!」

[ 2014年1月21日 05:30 ]

田中のグラブにはローリングス社のメジャー公式球が入っていた

 ライジングカットだ!新ポスティング・システムで大リーグ移籍を目指している楽天・田中将大投手(25)が20日、コボスタ宮城の室内練習場で自主トレを実施。キャッチボールの相手を務めた美馬学投手(27)に浮き上がるようなカットボールを投じてみせた。今季、完全習得を目指している球種で左打者の内角に狙い通りに投じることができれば、メジャーの舞台で大きな武器になりそうだ。

 コボスタ宮城の室内練習場に美馬の声が響いた。「うお!何だこれ!」。身長1メートル69の小兵はジャンプして辛うじて捕球した。およそ20メートル先で田中は不敵な笑み。その表情が「狙い通り」であることを物語っていた。

 「カットボールの軌道で、凄く伸びた。あんなボールは今までに見たことがないです。ビックリしました」。大リーグ公式球でのキャッチボールを終えた美馬が、田中が投じた「ライジングカット」について説明した。

 カットボールは今季、完全習得を目指す球種だ。24勝無敗だった昨季途中から投げ始めたが、田中は昨年末に「まだダメ。もっと鋭くしないと」とオフの課題に挙げていた。大リーグ公式球は日本の統一球に比べて滑りやすく、縫い目も高いため、大きな変化が生まれることが多い。実際、18日に田中のブルペン投球を受けた長坂ブルペン捕手は「ツーシームが(従来の)横の変化だけでなく沈んだ」と証言していた。この日投じたカットボールには、ツーシームとは対照的に伸び上がるような変化が加わった。

 縦変化のスライダーに対し、カットボールは横に小さく変化させてバットの芯を外す球種。右投手は左打者の内角に投じることが多い。特にスイングスピードが速いメジャーの打者は体の近くまで球を引き付けるため、打ち損じを誘えるカットボールは有効だ。さらに先発の登板間隔は中4日が主流のメジャーにおいて、少ない球数で打たせて取れる。浮き上がるようなカットボールは打者が球の下を叩いて小フライとなる可能性が高く、完全習得できれば大きな武器になる。移籍先の本命であるヤンキースの黒田も「ライジングカット」の使い手だ。

 現在、代理人のケーシー・クロース氏が大リーグ各球団と入団交渉中。田中は正式にメジャー移籍が決まるまで発言を控えており、この日も練習後は何も語らずに球場を後にした。交渉期限は米東部時間24日午後5時(日本時間25日午前7時)。移籍先決定を目前にして、メジャーで成功するための準備を着々と進めている。

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