稲葉 引退を懸け来季へ「19年間で最低な一年」7000万円減 

[ 2013年12月6日 05:30 ]

引退の覚悟を口にした稲葉

 冬の嵐が吹き荒れた。日本ハムの稲葉篤紀内野手(41)が5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、7000万円減の年俸1億3000万円でサインした。19年目の今季は91試合の出場にとどまり、自身最低の打率・203。3本塁打、24打点と振るわず、2軍落ちも経験。節目の20年目となる来季は、引退を懸けて挑む決意を明かした。この日は他球団でも主力選手の大幅減俸が相次いだ。

 会見場の席に着いた稲葉は覚悟を決めた。7000万円ダウンの年俸1億3000万円でサイン。41歳は隠すことなく、今の心境を明かした。

 「来年、同じ成績なら引退を考えている。20年目の節目、それぐらいの覚悟を持ってやる」

 ヤクルトで同期入団だった2歳上の宮本が今季限りで引退。さらに、中日・山崎、阪神・桧山ら同世代も相次いで現役生活にピリオドを打った。プロ野球選手としての引き際。来季は真っ向から向かい合う一年になる。

 開幕前にWBCに出場。シーズンではコーチ兼任として始まったが、極度の不振に陥った。故障以外では05年の日本ハム移籍後初となる2軍落ちの屈辱も味わった。自己最低の打率・203。自身の成績と合わせるようにチームも低迷し、リーグ優勝から最下位に転落。「何もない。19年間で最低な一年だった」と、唇をかみしめた。

 このままで終わるつもりもない。来季はコーチ兼任の肩書がとれ、選手専任で挑む。「便利屋と言ったらおかしいけど、隙あらばレギュラーを狙う。自分の調子が良ければ、使わなければいけない。それがベスト」。栗山監督が就任して以来、この2年は守備の負担を減らすため一塁や指名打者での出場が主だった。しかし、稲葉は今シーズン終了後、指揮官に「来季は外野も守ります」と告げた。その姿勢には甘えも妥協も一切ない。

 中田が4番として定着し、陽岱鋼も球団初の盗塁王を獲得。世代交代は着々と進んでいる。「選手として、もう一花咲かせたい。野球人生を懸けた悔いの残らないシーズンにしたい」。来年8月で42歳。自らを追い込んだ背水のシーズンを迎える。

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2013年12月6日のニュース