マー君新伝説 沢村賞選考わずか10分、文句なし満場一致

[ 2013年10月29日 06:00 ]

沢村賞を受賞し報道陣からプレゼントされた24本のバラと沢村栄治の写真パネルを手にする楽天・田中

 楽天の田中将大投手(24)が28日、11年以来自身2度目の沢村賞を受賞し、都内のホテルで会見を行った。24勝0敗1セーブで球団創設9年目の初優勝に貢献したこともあり、選考は10分で受賞が決定。田中には金杯と副賞(300万円)が贈られ、11月26日に都内で開かれる「プロ野球コンベンション」で表彰される。田中は最多勝などのタイトルだけでなく、MVPなど最大で「12冠」の可能性もある。この勢いで巨人との日本シリーズも制する。

 グレーのスーツに身を包んだ田中がフラッシュを一身に浴びた。日本シリーズの真っ最中で会心の笑みこそなかったが、抱負を交えて喜びを表現した。

 「沢村賞は自分にとって大事な、大きな賞。凄くいいシーズンだったけど、まだ戦いは続いてる。この賞に恥じない投球をしたいです」

 正午から始まった選考委員会は、わずか10分で終了した。もちろん、満場一致。史上初の無敗の最多勝に議論すら起きず、村田兆治委員は「これだけ早くみなさんが賛同するのは(過去に)なかった」と異例のスピード決着を説明した。2年前はマウンドで雄叫びを上げる行為などが選考委員会で物議を醸したが、今年は「文句なし」での受賞。田中のマウンドでの振る舞いは相手を侮辱しているわけではなく闘志が抑え切れずに表出するだけで、自然に味方も鼓舞している。

 27日の日本シリーズ第2戦(Kスタ宮城)では、1失点完投でチームの初勝利に貢献した。この日はKスタ宮城で練習を行ってから新幹線で東京に移動。会見では「誇れる数字は特にない。0敗も自分だけの力ではない。本当に周りの方々のおかげ」と野手、裏方スタッフに感謝した。

 ここまでの思い出を問われた田中は、優勝決定試合だった9月26日の西武戦(西武ドーム)を挙げた。1点リードの9回に1死二、三塁のピンチを抑えて胴上げ投手。当日は「永遠に残る映像に田中を残したかった」という星野監督の計らいもあった。狙い通り、ここまでテレビや球場の大型ビジョンで優勝決定の瞬間の映像が流れている。

 「あの場面は、あの日からいろいろなところでテレビで流れているのを見た。やっぱりうれしい。今までは甲子園の決勝で空振り三振しているところばかり使われていたので、また新しい一ページができてよかったです」

 駒大苫小牧時代に早実の斎藤(現日本ハム)と引き分け再試合を演じた06年夏の甲子園で最後に三振した場面も青春の一ページ。伝説的な一年を象徴した優勝決定の瞬間も人生の一ページとして刻まれた。その名場面がより輝く舞台は、巨人との日本シリーズ。第6戦で再び巨人を封じる姿を、田中は脳裏に描いている。

 ▽沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、故沢村栄治氏(巨人)を記念し、1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに広げられた。選考基準は「登板数25試合、完投10試合、15勝、勝率・600、200投球回、150奪三振、防御率2・50」の7項目。加えてチーム勝利への貢献度、連勝連敗、プロ選手としての品格なども加味される。

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