試合は負けても…大谷が藤浪に勝った!二塁打2本で圧倒

[ 2013年5月27日 06:00 ]

<神・日>6回、大谷は藤浪(右)から二塁打を放つ

交流戦 日本ハム1-7阪神

(5月26日 甲子園)
 二刀流ルーキーが打者として勝った。日本ハムの大谷翔平投手(18)が26日、阪神戦で藤浪晋太郎投手(19)とプロ初対戦。「5番・右翼」でプロ入り初のクリーンアップを務め、2本の二塁打を放った。背中から腰の張りで戦列を離れていた藤浪も復帰戦で7回1失点に抑えて4勝目。自己最速タイの153キロを計測したが、直接対決では大谷に軍配が上がった。ともに1メートル90を超える怪物ルーキー。新たな平成の名勝負が幕を開けた。

 イメージはバックスクリーン直撃だった。6回の第3打席、2ボール1ストライク。大谷は藤浪が投じた145キロ直球をフルスイングした。強烈な打球は二塁・西岡の右を抜け、あっという間に中堅右寄りのフェンスに到達した。これが18歳の打球なのか。あまりの速さに甲子園がどっと沸いた。だが、打った本人はプロ初アーチはならず、悔しさをにじませた。

 「ボールが先行していたので甘く入りやすいカウントだと思った。もうちょっと弾道が上がってくれれば良かった。ちょっと打ち損じたかな」

 昨年のセンバツ1回戦で藤浪から第1打席で右越え本塁打。だが、視察した日本ハム・山田正雄GMは一発よりも第3打席の三直に衝撃を受けたという。「左打者の流し打ちであの弾道は初めて見た。そのままスタンドに入るかと」。4回の第2打席が似ていた。外角の146キロ直球を軽々と左翼線寄りへ。リストの柔らかさと力強さからスイングスピードが速い。だから藤浪の剛速球にも振り遅れず、球を引きつけて逆方向に打ち返せる。さらに左翼マートンの緩慢な守備を見て二塁を陥れた。相手の隙を逃さずプロ初の5番でマルチ二塁打。自身より4センチ高い1メートル97のライバルを圧倒し「(藤浪は)高校の時の方が近くに感じた」と言い表し「打者」としての成長を見せつけた。

 2人は良き友でもある。昨夏に韓国で開かれたIBAF18U世界野球選手権大会でともに日の丸を背負った。公式練習ではブルペンで初競演し「刺激を受けた。自分より大きいので威圧感があった」。スライダーの握りを教え合うなど親睦を深め、今では日頃からメールを交換する仲である。

 431日ぶりに実現した黄金ルーキー同士のプロ初対決に、甲子園は今季最多4万6512人。大谷は初回守備でも沸かせた。1死一、二塁から新井良の右前打で本塁へ矢のようなツーバウンド送球。判定はセーフも走攻守で強烈なインパクトを残した。悔やんだのは第1打席の初球。狙った直球がファウルとなり「ショックだった」という。野手で出場した試合は10連敗で「勝たないと意味がないので50点くらい。負けた立場なので連絡しづらい」と話した。

 平成の名勝負と言えば清原VS伊良部、松坂VSイチロー…。大谷VS藤浪の新時代到来である。「次は変化球から入ってくると思う。そういう時にしっかり打ちたい」。投げ合う日もいずれ訪れる。野球ファンの夢は膨らむ。

 ▼日本ハム・渡辺打撃コーチ(大谷について)あいつのバット軌道は大したもの。みんながスイングに悩む中、あいつは同じ軌道で打ててしまうんだからね。

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