大谷、魔球カットボール初披露 GMも太鼓判

[ 2013年1月30日 06:00 ]

大谷がカットボールを投げる

 日本ハムのドラフト1位右腕、大谷翔平投手(18=花巻東)が29日、千葉県鎌ケ谷市で行われた新人合同自主トレで、初めて捕手を座らせ16球を投げ込んだ。スライダー、カーブに加え、真横に滑るカットボールも初披露。昨夏に覚えたばかりの魔球を難なく操り、順調な仕上がりぶりを見せつけた。チームの新人合同自主トレはこの日で終了。2月1日からいよいよ春季キャンプがスタートする。球春の到来はもう間近だ。

 真っすぐに伸びてきた軌道が、本塁手前でスッと左にスライドした。「カットいきます」。初めて捕手を座らせた大谷が、11球目と12球目にカットボールを初披露。わずか2球ではあったが、確かな手応えが残った。

 「ちゃんと低めに行ったし良かったと思います。カット?木製バットは芯をずらせばいいので使えると思います」

 高校時代から「みちのくのダルビッシュ」と呼ばれたが、体形や投球フォームだけでなく、多彩な変化球が武器なところも本家と同じだ。カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークボールにカットボール。中でも「カッター」と呼ばれる魔球は昨夏の岩手大会前に覚えたばかり。花巻東OBで菊池雄星(西武)の同期だった猿川拓朗(東海大)から伝授されたが、すぐにマスターした。投球を受けた4年目捕手の荒張は「本当のカット。手元に来て横に滑るように変化する。140キロ前後は出ているでしょう」と絶賛した。

 大谷の場合、握り方はスライダーと同じ。やや浅く握ることでカットボールに変身させている。最速160キロを誇るだけに、直球に見えた球がやや横に滑るだけでもバットの芯を外すことができ、効果は絶大。ネット裏で見守った山田正雄GMは「精度が上がればプロでも十分使える」とうなずいた。

 この日は新人合同自主トレ3度目のブルペン入りだった。捕手を座らせての全16球でストライクは9球、ボールは7球。やや制球がばらつく場面もあったが「力を入れたらどうなるか(キャンプへ)行く前に試したかった」と満足そうに話した。

 11日から約2週間の新人合同自主トレは終了。自己採点は「100点です」と振り返った。キャンプは2軍スタートだが「技術的に上がれば必然的にチャンスが出てくる」と早期の1軍昇格にも意欲を見せた。31日に沖縄入り。異例の二刀流に挑む大谷のキャンプが、いよいよ幕を開ける。

 ▼日本ハム・栗山監督(大谷について)器用だからいつでもカットボールとかは投げられる。自主トレが無事に終わったという報告があったけど、それは良かった。

 ▽カットボール 正式名称は「カット・ファストボール」で、米国では「カッター」と略される。直球系の変化球。一般的にはフォーシームやツーシームの握りを少し右側にズラし、人さし指でボールを握りつぶすようにリリース。ボールは空気抵抗を受けにくいジャイロ回転(らせん回転)のようになり、真横に曲がる。昔から投げられていた球種だが、1990年代は「ムービング・ファストボール」と呼ばれた。

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