まるでパニック映画…建山“仰天メジャーデビュー”

[ 2011年5月26日 06:00 ]

<レンジャーズ・ホワイトソックス>メジャーデビューを果たした建山

ア・リーグ レンジャーズ6-8ホワイトソックス

(5月24日 アーリントン)
 嵐を呼ぶ男?昨オフに日本ハムからFA宣言し、レンジャーズに移籍した建山義紀投手(35)が想像を絶する悪天候の中、メジャーデビューを果たした。24日(日本時間25日)、地元でのホワイトソックス戦に5―6の7回から3番手で登板。打者3人を相手に投げ、2/3回を1安打1失点だった。試合は台風とひょうの影響で2時間58分中断。途中には竜巻を警戒して観客が避難するパニック映画さながらの展開となった。

 日付も変わり、観客もまばらとなった7回。待望のマウンドに上がった建山は冷静だった。後続が打たれ失点は喫したものの、2/3回を1安打1失点。まずまずの内容でデビュー戦を飾った。

 「ずっと思い描いていた舞台。高ぶる気持ちはあったが、意外に浮足立たずに落ち着けた」

 マイナーで取り戻した持ち味の制球力が光った。右の強打者が並ぶ2番からの上位打線。先頭を右飛に打ち取ると、この試合3本塁打したクエンティンは低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。コネルコに追い込んでから外角直球を右前へ運ばれ、左打者を迎えたところで交代となったが、マウンド上でロン・ワシントン監督からねぎらいの言葉を掛けられた。スタンドからも拍手を送られ、試合後は「凄い打者といきなり対戦できて、余計に集中できた。空振りもとれたし、投げるべきところに投げれば、何とかできる」と手応えを口にした。

 ただ試合で最も注目されたのは悪天候だった。4回に試合が中断すると、ゴルフボール並みの大きさのひょうが降り始め激しい雨が続く。一時風速60マイル(約97キロ)を記録する台風も来襲した。

 午後9時にはアーリントン市から竜巻注意報が通達され、「観客を避難させるように」という指示が下った。レ軍は急いで場内放送で観客に避難を呼び掛け、係員がファンをグラウンドに降ろし、ベンチ横や外野の通路から屋内に誘導。幸い竜巻は現れなかったが、米国では22日に中西部ミズーリ州ジョプリン市で100人を超える死者が出たばかり。記者席でも「窓際から離れるように」と注意されるほどで、レ軍のロブ・マトウィック球場管理部長は「竜巻が来る可能性もあったようだが、迅速な対応ができて負傷者が出なくてよかった」と胸をなで下ろした。

 予想外の状況にも開幕をマイナーで迎えた35歳が動じることはなかった。試合後は「右打者を完璧に抑えることが仕事。収穫も課題も見つかった内容のある登板だった」と充実感にあふれていた。今後も好投を続け、大リーグに新たな旋風を巻き起こしたい。 

 ◆24日のレンジャーズ―ホワイトソックス戦の試合経過

 ◎19:08 試合開始。

 ◎20:23 悪天候のため4回表終了とともに試合は中断。

 ◎20:33 ゴルフボール大のひょうが降り始める。

 ◎21:00 竜巻注意報。アーリントン市がレ軍に観客の避難を指示。観客はスタンドからグラウンドに降り、屋内へ。

 ◎23:21 2時間58分の中断後、4回裏レ軍の攻撃で試合再開。

 ◎25日0:13 建山がメジャー初登板。

 ◎0:18 打者3人と対戦し建山は交代。

 ◎1:27 ホ軍が8―6で勝利。 

 ◆米国と竜巻 米国では年間1000個前後の竜巻が発生している。中でも被害が多い米南部は「Tornado Alley」(竜巻通り)とも呼ばれている。今年4月27日から28日未明にかけては、計150以上の竜巻が発生。アラバマ、ミシシッピ、アーカンソー、テネシー、ジョージア、バージニア州で計300人以上の死者が出た。オバマ大統領が緊急事態宣言を出すほどで、死者数が747人に上った1925年3月以来の規模とも言われている。

続きを表示

この記事のフォト

2011年5月26日のニュース