イチロー 今季のテーマは「遊び」

[ 2008年1月11日 06:00 ]

イチローは自主トレを公開し8年目の進化したボディでキャッチボール

 今年は遊びます!マリナーズのイチロー外野手(34)が10日、神戸市内のオリックス室内練習場で練習を公開。自身のテーマに「遊び」を掲げ、残り215本に迫った元ロッテ・張本勲氏(67=本紙評論家)の持つ通算3085安打のプロ野球最多記録更新を誓った。今季は近代野球が確立していなかった19世紀の記録、ウィリー・キーラーに並ぶ8年連続200安打も懸かっており、偉大なる記録への挑戦が始まった。

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 久々に公の前に姿を現したイチローは、室内練習場に響き渡ったラップ音楽のようにノリノリだった。キャッチボールで力強い送球を次々に投げ込めば、120スイングしたフリー打撃では、鋭い打球を左右に打ち分ける。すでにキャンプ中盤を思わせる仕上がり状態に、集まった約40人の報道陣からは感嘆の声も上がった。しかし驚くのはこの後だった。

 「(今年は)見ている人が“イチロー、ちょっと遊んどるな”って印象を抱くプレーをしたい」

 今年のテーマはズバリ「遊び」。真意については「そこまでかみ砕く必要はないでしょう」と明かさなかったが、決して悪ふざけや手を抜くという意味ではない。イチローは今までとは違う“何か”を感じているのだ。

 一昨年まではシーズン200安打直前になると、数字を意識しすぎるあまり打撃を崩した。時には激しい吐き気に襲われたこともあった。だが、昨季は打席での立ち位置を下げたことで右足の踏み込みが安定。首位打者こそ逃したものの「ようやく苦しみから解き放たれた感触を得た」という。打撃技術をまた1つ進化させることで、心にゆとりが生まれ、重圧を克服できたのだ。だから、今季は楽しみながら野球ができる。

 新境地に到達したイチローが目指すのは、あと215本に迫った張本氏の通算3085安打。既に青写真は描かれている。「あと130本で(日米)3000安打。球宴までには何とかやりたい」。前半戦での130安打以上は過去に01年と03年にクリアしており、今季は7月15日のオールスター戦まで(95試合)に130安打すれば年間221本となる計算。8年連続200安打については「それは言うまでもないですね」とし、「今年中に日本選手が立ったことのない場所にいきたいと思っている」と“張本超え”を目標に置いた。

 以前は「天才」と呼ばれることを嫌がっていたイチローだが「自分にしかできないことや他人と決定的に違うことを天才と定義するならば、それを受け入れるのもありじゃないか」と考え方も変わってきた。自分にしかできないこと――それは日本人が到達したことがない未知の領域に足を踏み入れること。08年、日本が生んだ天才が一気に頂へ登り詰める。

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2008年1月11日のニュース