新型Eクラス 古典的なプロポーション+新技術が抜群の魅力を放つメルセデスだ
新型Eクラスのグレード構成は?
E200はM254型のガソリン2.0L直列4気筒ターボ(最高出力150kW、最大トルク320Nm)を搭載。E220dはディーゼルで、OM654M型の2.0L直列4気筒ターボ(最高出力145kW、最大トルク440Nm)を搭載する。トランスミッションはどちらも、9速AT(9Gトロニック)の組み合わせ。さらに、どちらもエンジンとトランスミッションの間に48V駆動の最高出力17kW、最大トルク205Nmの電気モーター(ISG)を搭載する。
セダンのみに設定されるE350eスポーツはプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。エンジンはE200と同じガソリン2.0L直列4気筒ターボを搭載。エンジンとトランスミッションの間に挟むモーターは強力で、最高出力95kW、最大トルク440Nmを発生する。システム最高出力は230kWだ。
バッテリー容量は25.4kWhで、EV走行換算距離は112km。140km/hまでEV走行が可能なので、日常的にはほぼEVとしてつき合うことができそうだ。モード切り替えによっても回生ブレーキの制御を切り換えることは可能だが、ステアリング裏のパドルでも強弱を切り換えることが可能(3段階)。D-に設定すると、ワンペダル感覚での操作が可能になる。充電は6kWの普通充電に加え、CHAdeMO規格の急速充電に対応(最大60kW)。V2H、V2Lにも対応している。
PHEVのE350eにのみ、後輪操舵システムのリア・アクスルステアリングをオプション設定している。SクラスやCクラス、BEVのEQS、EQEなどでおなじみの装備で、Eクラスの場合は約60km/h以下で逆相に約4.5度、それ以上の速度域では同相に最大2.5度操舵する。逆相側の最大操舵角度は、メルセデス・ベンツの他モデルより控え目だ。
それでも、最小回転半径は後輪操舵システム非搭載モデルの5.4mに対して5.0mと、高い小回り性を実現している。先に運転した際の印象を伝えておくと、最大逆相舵角が他のモデルより小さいこともあってか、大転舵時の「後輪が操舵している」感は希薄。しかしそれでも「あ、動いている」と感じる(感じてしまう)シーンはある。
■セダン
E350 e スポーツ Edition Star:988万円
E220 d アバンギャルド:921万円
E200 アバンギャルド:894万円
■ステーションワゴン
E220 d ステーションワゴン アバンギャルド:955万円
E200 ステーションワゴン アバンギャルド:928万円
新型Eクラスの新機能「ハイ、メルセデス」の進化
メディア向け試乗会では、そのE350eスポーツEdition Starと、E220dステーションワゴンアバンギャルドに乗った。
セダンは内燃機関をフロントに縦置きに搭載して後輪を駆動するモデルの伝統的なプロポーションをしている。すなわち、ボンネットは長く、フロントのオーバーハングは短くて、キャビンは後ろ寄りだ。古典的なプロポーションと言っていいが、ひと目で新しいモデルだとわかるのは、テールライトに新しいグラフィックを採用しているからだ(と、個人的には思う)。
メルセデス・ベンツを象徴するスリーポインテッドスターをモチーフにした赤いグラフィックが左右合わせて4つ点灯する(ステーションワゴンも同じ)。筆者にとってはいわゆる「刺さった」状態で、このグラフィックのおかげでEクラス、とっても気になる存在である。
セダン(E200/E220d)のボディサイズは全長4960×全幅1880×全高1470mmだ。先代に対して全長で20mm、全幅で30mm、全高で15mm拡大している。拡大分のほとんどは室内空間の拡大に使っているという。ホイールベースは2960mmで、先代比+20mmだ。
助手席一体型ディスプレイのMBUXは全車にオプション設定となる。エアアウトレットがディスプレイの輪郭に沿ってレイアウトされているのが特徴。EQSやEQBなどの助手席ディスプレイで動画を視聴しているとき、ドライバーが助手席側を見るとディスプレイがブラックアウトする仕組みとなっている。新型Eクラスはスマホの覗き見防止機能のような感じで、ドライバーからは見えないが、助手席からはずっと映像が見られるよう仕様が変更されている。
ドライバー向けでは、メーターパネルの3Dコックピットディスプレイが新しい。ドライバー側を向いたふたつのカメラにより、ドライバーの左右それぞれの視線を追跡することにより、特殊なメガネを使用せずにドライバーに3D映像を見せることが可能。「3Dになったから何?」と冷めた感想を吐くことは可能だが、新しさを感じるのは事実だ。
セルフィー&ビデオカメラ(オプション)の採用も新しい。ダッシュボード中央に設置されるカメラはドライバーをモニターする目的ではなく、自分の写真や動画を撮影したり、停車中にオンラインのビデオ会議に参加したりするためだ。「それ必要?」との感想はガラケーにカメラが付いたときも思ったはずで、ひょっとするとビデオカメラ、数年後には当たり前装備になっているかもしれない(?)。
Dolby Atmosに対応したBrumester 4Dサラウンドサウンドシステムも新機軸だ。3Dではなく4Dなのは、音楽に合わせてシートが振動するからだ(オンオフと強弱を調節できる)。さらに、サウンドビジュアライゼーションをオンにすると、アンビエントライトが音楽に合わせて明滅する(やはり、オンオフと強弱を調節可能)。まるでクラブのノリである。
「ハイ、メルセデス」の呼びかけで起動する音声アシスタントには、Just Talk機能が付加された。ドライバーがひとりで乗車しているときは「ハイ、メルセデス」の掛け声は要らず、いきなり要件を話しかければいい。実際に確かめてみたが、手間が省けて便利だ。
これは便利だとばかりに「ヘッドアップディスプレイをオンにして」と頼んでところ、「もう機能しています」と返事が返ってきた。「なに?」とサングラスを外したところ、きちんとフロントウインドウに投影されていた。たまに相性が悪いクルマがあるのだが、新型Eクラスのヘッドアップディスプレイ、偏光サングラスとの相性は悪いようだ。
官能的かつ躍動感あふれるE350e
1時間×2台の試乗時間は、新型Eクラスに投入された新機能を確かめるだけであっという間に経過してしまった。好むと好まざるとにかかわらず、てんこ盛りの最新機能が新型Eクラスの魅力なのは間違いない。Eクラスらしい、そしてFRレイアウトのサルーンらしい、古典的なプロポーションを受け継ぎながら、数々の新技術や、進化して洗練度が増した技術が乗り手に驚きと感動を与える。実に憎らしい仕掛けである。
PHEVのE350eスポーツEdition Starは静と動のコントラストが印象的だった。EV走行をしているときは極めて静か。しかし、ダイナミックセレクトでSportを選択し、アクセルペダルを深く踏み込むと、「どこにそんな情熱を隠していたの?」とあっけにとられるほどのレーシーなエンジンサウンドが耳に届く。静かで上品なサルーンの顔と、官能的かつ躍動感あふれるスポーティカーの顔を合わせ持つのがE350eの魅力だ。
いっぽう、E220dステーションワゴンアバンギャルドは、広いラゲッジスペースに代表されるようにユーティリティのかたまりである。外にいると「このクルマはディーゼルエンジンを積んでいますね」と即座にわかるが、室内にいるとエンジンの存在をほとんど感じさせないのはさすがである(先代もその傾向はあったが)。低回転から頼もしい力を発揮してくれるのは相変わらずで、その豊かな力感が心地いい。
燃費は確認できていないが、先代あるいはメルセデス・ベンツの他モデルの乗車経験から推しはかるに、悪いはずがない。ロングツーリングに向いた1台と言えるだろう。
メルセデス・ベンツEクラス E350 e Sports Edition Star 全長×全幅×全高:4960mm×1880mm×1470mm ホイールベース:2960mm 車重:2210kg サスペンション:F4リンク式Rマルチリンク式 駆動方式:FR エンジン 形式:2.0L直列4気筒DOHCターボ 型式:M254M20 排気量:1997cc ボア×ストローク:83.0mm×92.3mm 圧縮比: 最高出力:204ps(150kW)/2000-4000pm 最大トルク:320Nm/2000-4000rpm 燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射) 燃料:プレミアム 燃料タンク:50L ハイブリッドモジュール モーター形式:EM0017型交流同期モーター 最高出力:95kW 最大トルク:440Nm トランスミッション:9速AT 燃費:WLTCモード 12.7km/L 車両本体価格:988万円 オプション:デジタルインテリアパッケージ40万4000円/ドライバーズパッケージ40万9000円/リモートパーキングアシスト15万5000円 アドバンスドパッケージ61万6000円 レザーエクスクルーシブパッケージ75万9000円 オプション装備含む車両価格1222万3000円
メルセデス・ベンツEクラス E220d ステーションワゴン アバンギャルド 全長×全幅×全高:4960mm×1880mm×1470mm ホイールベース:2960mm 車重:1930kg サスペンション:F4リンク式Rマルチリンク式 駆動方式:FR エンジン 形式:2.0L直列4気筒DOHCディーゼルターボ 型式:OM654 排気量:1992cc ボア×ストローク:82.0mm×94.3mm 圧縮比: 最高出力:197ps(145kW)/3600pm 最大トルク:440Nm/1800-2800pm 燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射) 燃料:軽油 燃料タンク:66L ハイブリッドモジュール モーター形式:EM0023型交流同期モーター 最高出力:17kW 最大トルク:205Nm トランスミッション:9速AT 燃費:WLTCモード 18.2km/L 車両本体価格:955万円 オプション:AMGラインパッケージ50万4000円 アドバンスドパッケージ59万円 レザーエクスクルーシブパッケージ85万7000円 デジタルインテリアパッケージ40万4000円 オパリスホワイトM16万1000円 オプション装備含む車両価格1206万6000円
クルマの2024年3月20日のニュース
-
マツダの最小コンパクト「マツダ2」、10年ぶりフルモデルチェンジへ!今秋にも登場か!?
[ 2024年3月20日 16:00 ] モーターファン
-
ボルボEX30は傑作の予感がする。最先端の機能が満載で、その気になればスポーティ。なによりほれぼれするデザインがいい
[ 2024年3月20日 16:00 ] モーターファン
-
レースに使うエネルギーの4割を回生!第3世代マシン「Gen3」はほぼ“モーターで減速”する【MF的フォーミュラEひとくち解説 その5】
[ 2024年3月20日 16:00 ] モーターファン
-
新型Eクラス 古典的なプロポーション+新技術が抜群の魅力を放つメルセデスだ
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
「Pride of Hiroshima展」が常設化されて4月27日にオープン。地域活性化および平和な社会実現への貢献を目指す
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
ヤマハが日清紡と提携! 航行支援アプリ「JM-Safety」で、つながる安心感を提供
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
やっぱりカワイイ! フィアット500の1.2Lモデルが装備内容向上 & 3万円の値下げ!
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
マクラーレンなのに“元メルセデス”で“ニッサン車”? 英国の名門のちょっと複雑な略歴【フォーミュラEチーム&ドライバー紹介】
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
今や0Wも常識! 低粘度オイルは燃費向上に効く!? 輸入車用にディーゼル用……エンジンオイルの正しい選び方【CarGoodsMagazine】
[ 2024年3月20日 12:00 ] モーターファン
-
スバルが「XVクロステックハイブリッド」を先行公開。同社初のハイブリッド「e-BOXER」を搭載して250万~278万円で登場【今日は何の日?3月20日】
[ 2024年3月20日 08:00 ] モーターファン