我が道_具志堅用高

【我が道】具志堅用高㉛ ジムもタレントも一生懸命に

[ 2022年9月12日 12:00 ]

息子夫婦と孫娘だね。双子なんだよ。家族も大事、仕事も大事。やっぱり、頑張ってるってことが、楽しいですよ。プライドもあるけど、頑張ることが大事なんだね
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 「ご苦労さん。これからの人生が、大切だよ」

 ひと言だったね。14度目の防衛戦で負けた翌日、飛行機で東京に戻ったら、羽田空港で欽ちゃんに偶然、会ったですよ。タレントの萩本欽一さんね。その時はね、ありがとうございますってしか言えなかったけど、今は、この言葉の意味、よくわかるねぇ。

 僕には女房と息子と娘がいて、孫もいて、家族をとても大事にしてるんだけど、それ以外の夢は、白井・具志堅スポーツジムの会長として世界チャンピオンを育てることと、タレントの仕事をもっと頑張るってことだね。

 1995年(平7)に開いたジムではね、3人が世界挑戦したですよ。名護明彦、嘉陽(かよう)宗嗣、あと女子の菊地奈々子ね。名護はダウンを奪いながら、攻めきれなくて判定負け。嘉陽はチャンピオンが体重オーバーで試合前日にタイトルを剥奪されたんだけど、運を生かせなかったね。菊地はあと1分あればKOできたって試合を落としたなぁ。

 新人王や日本チャンピオンは、つくれるですよ。でも、世界チャンピオンは運がないとね。僕は、半分ぐらいが運で世界を獲ったけど、運をモノにしたからね。運は私生活をちゃんとやれば回ってくるって思うよ。自分で世界チャンピオンを育てる。その選手が、13度の防衛記録を破る。すっごい、もう強烈に、そういう選手を見たいんですよねぇ。

 タレントは、まだ4回戦だね。今、すごく仕事が増えたけど、自分では、僕の何が面白いか、わからないですよ。だから、面白いんじゃないかなぁって思うね。ふだんのままだから。マネジャーに「受けを狙いに行くな」って言われるんだよ。狙うと外すらしいからね。タレントとしては板東英二さんに近づきたいねぇ。あれだけ野球で実績残した人なのに、芸達者で、誰からも好かれてるね。まぁ、まだまだですよ。

 どうして、ジムとタレントで頑張ってるかって言うと、若い人、沖縄の人に、ボクシングの現役だけじゃなくて、ほかのことも頑張ってる、頑張ればできるってのを見てもらいたいからなんだよね。とにかく、今やってること、一流になるまで頑張れと。どこかで花が咲きますよ。結果出すまで、頑張ったほうがいいですよ。

 一生懸命だよね。ジムもタレントも。失敗しても、諦めないで頑張るってことですよ。ナンクルナイサね。第1回で話したこと、それを、今もやってるですね。

 僕ね、引退して抜け殻になった時期、人に会うのが、ダメだったですね。あれだけ、リングで戦ってきたから、人にお願いができなかったですよ。でも今は、お願いができる。ジムを出してから、人に会うようになって、お願いができるようになった。そのころに、やっと抜け殻状態から、抜け出すことができたですね。

 人に会うことで、ひらめきもある。いい人に出会って、付いていって、頑張ることですね。失敗しても、忘れる。で、もう一度、頑張ればいいんですよ。

 最近さ、町で子どもたちが、僕を見て「ちょっちゅね、ちょっちゅね」って指さすんだよ。僕は、ちょっちゅねって名前じゃないのにさ。でも、うれしいね。僕の肩書は「元世界チャンピオン」だけじゃないってことだからね。

 具志堅用高と言えば

 「ちょっちゅね~」

 だからね。 =終わり=

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