有力プロボクサーが続々五輪辞退、強豪ベテルビエフも…理想に遠く
ボクシングの北米ライトヘビー級王者でプロデビュー以来10戦10勝(10KO)という戦績を残しているアルツール・ベテルビエフ(31=ロシア)は15日、プロモーターのイボン・ミシェル氏を通してリオデジャネイロ五輪への出場を辞退した。
国際ボクシング連盟(AIBA)はヘッドギアを廃止し、採点方法をプロに合わせるなど規約とルールを変更。リオデジャネイロ五輪で世界の強豪プロボクサーの出場をもくろんでいたが、最も出場が濃厚と言われていたベテルビエフまでが距離を置く結果となった。
現在カナダのモントリオールを拠点にしているベテルビエフは北京、ロンドン両五輪に出場。しかしミシェル氏は「すべての状況を検討した結果(五輪出場は)望ましくない。当面の目標は世界王者になること」として同選手の3度目の五輪出場は消滅した。
五輪では短期間により多くの試合を消化しなければならず、五輪ボクシングの人気向上を目指したAIBAの思惑とは裏腹に、多くのプロボクサーが出場を敬遠もしくは辞退。多くのプロボクサーを抱える米国も従来の選考方法を変えなかった。
WBC、IBFの世界スーパーライト級元王者で、アテネ五輪では銀メダルを獲得しているアミール・カーン(29=英国)はWBCから「五輪に出れば2年間の出場停止処分を科す」通告されながらも、自身のルーツでもあるパキスタン代表として五輪出場に意欲を見せていたが先月にKO負け。五輪に出場するにはアゼルバイジャン(16日開幕)かベネズエラ(7月初旬)での最終予選に出場しなくてはいけないが、ダメージからの回復期間が短く実現の可能性はなくなった。
AIBAはプロボクサーを対象にした「ワールドシリーズ」などを主催しているが、参加している選手はほとんどがプロの協会を持たない国の選手たち。多くの競技で解禁されているプロ選手の参加をボクシングでも実現させようとしたが、描いていた“理想像”にはほど遠い状況になってきた。
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