橋本大輝 貫禄のV3! 内村のV10に次ぐ日本のエース「途切れさせたくないプライドがある」

[ 2023年4月24日 04:25 ]

体操全日本個人総合選手権最終日 ( 2023年4月23日    東京体育館 )

男子決勝で最後の鉄棒を終えサムアップポーズの橋本大輝(撮影・小海途 良幹)
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 男子決勝が行われ、21年東京五輪2冠の橋本大輝(21=順大)が合計171・497点をマークし、予選2位から逆転での3連覇を飾った。疲労骨折から回復途上の腰、19日に負傷した右足首と満身創痍(そうい)の中で演技をまとめ、10連覇した内村航平以来の3連覇となった。9~10月の世界選手権(ベルギー)の代表は今大会の得点を持ち越し、5月のNHK杯との合計得点で、内定している橋本を除いた4枠のうち2人が決まる。

 優勝を決めた橋本は、カメラに向かって連覇の回数を数えて喜びを表現した。15年世界選手権で6連覇した内村のパフォーマンスをマネしたが、いざ実際にやってみると違和感があった。「まあ3ですからね…。少ねーな!と」と苦笑いで明かし「一つ一つ積み重ねたい」とすぐに初心に返った。

 腰、右足首の痛みと闘い、今できる最善の選択をした。1種目目の床運動でトップに立ち、続くあん馬もミスなく通した。その時点で最終種目の鉄棒で大技リューキン回避を決め、安定感ある構成でまとめた。「まだまだ体操をやり続けたいので、先を見据えた試合をしないと」。難度を落とす抵抗感を押し殺し、勝負に徹した。

 1月に腰の疲労骨折が発覚。偶然にも、直後に母校の千葉・市船橋高で教育実習があった。放課後は後輩たちと一緒に基礎に立ち返り、特に意識したのがあん馬の旋回運動だった。「高校生の気持ちに戻りながら、もう一度、大きな旋回をやった」。3週間の実習期間を終えると、母校の神田真司総監督から「見栄えが良くなった」と高評価を受けた。この日のあん馬も大きな旋回が命綱。バランスを崩しながら立て直す執念の演技だった。

 予測不可能な困難に直面しても、動じない。東京五輪や昨年の世界選手権を制した自信が21歳の背中を押す。「連覇していると、途切れさせたくないプライドがある。自分の名前が並んでいく数字を見たい」。それは全日本だけでなく、秋の世界選手権や来年のパリ五輪でも同じ。ケガを乗り越え、世界王者がまた一つ、強くなった。

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2023年4月24日のニュース