【北京五輪プレーバック】平野歩夢 怒りを力に変えて金メダル「イライラして怒りが止まらなかった」

[ 2022年2月20日 19:40 ]

選手の談話で振り返る激闘の19日間

2回目の得点が伸びなかった怒りを3回目にぶつけ見事に逆転で金メダルに輝いた平野歩夢(ロイター)

 北京冬季五輪は20日、北京市の国家体育場(通称「鳥の巣」)で閉会式を行い、19日間の全日程を終える。日本は金メダル3個を含む18個のメダルを獲得。大会中は選手の戦う姿勢に胸を打たれる場面が数多くあった。そんな心に残った五輪の名場面を、選手の談話をもとに振り返ってみる。

 スノーボード・男子ハーフパイプの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)は、怒りを力に変えた。11日に行われた決勝の最終3回目に96・00点をマークし、悲願の金メダルを獲得。スノーボード競技の金メダル、冬季五輪3大会連続メダルは日本初。斜め軸に縦3回転しながら横に回る超大技「トリプルコーク1440」を含むルーティンを公式戦で初めて完遂し、暫定2位から最終滑走で大逆転した。

 しかし、その30分前までは怒りに震えていた。1本目からTC1440に成功も、4発目の技で転倒。迎えた2本目は超大技を含むルーティンを初めて完遂しながら91・75点止まりだった。「点数は納得できなかった。イライラして怒りが止まらなかった」。そして、3本目の滑りでは冒頭のTC1440は前の2本を大きく上回る5・5メートルまで跳び上がって決め、力ずくで評価を勝ち取った。

 TC1440にこだわった理由は「誰もやっていない技」だから。ゆえに「ヒントも正解もない」中で、東京五輪後から「1日50本とか60本とか、かなり練習」して会得した。昨夏の東京五輪スケートボード競技終了から、わずか190日。前例なき“二刀流”挑戦の末、夢をかなえて「ここを獲らずには終われないなと。やってきたことを全て出し切れた」と、最後は喜びにあふれていた。

 ◇平野 歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日生まれ、新潟県村上市出身の23歳。父・英功さんが地元でスケートパークを運営しており、4歳からスケートボードとスノーボードを始める。開志国際高―日大。14年ソチ、18年平昌五輪HP銀メダル。トッププロが集まる冬季Xゲームでは16年、18年優勝。1メートル60、50キロ。

 ◇スノーボード・男子ハーフパイプ 半円筒状のコースで両側の壁を往復しながらジャンプ、回転などの演技を行い、採点による得点で争う。1度の滑走で5~6回のトリック(技)を行い、6人の審判員が1人100点満点で採点し、最高点と最低点を除いた4人の平均点が得点となる。決勝には、9日に行われた予選の上位12選手が出場。スタート順は予選の成績下位からで、3回の試技のうち最も高い得点を採用して順位を決定する。

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