橋本大輝が東京五輪代表「世界一の選手に」8年前は人ごと、5年前は夢のまた夢…今は金メダル視界

[ 2021年5月17日 05:30 ]

体操 NHK杯最終日 ( 2021年5月16日    長野市ビッグハット )

鉄棒の得点を確認し、ガッツポーズする橋本大輝
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 4月の全日本選手権の得点を持ち点とし、男子個人総合で争い、全日本王者の橋本大輝(19=順大)が合計259・530点で初優勝し、東京五輪の団体総合の代表に決まった。日本が団体を制したリオデジャネイロ五輪の16年、中学3年で全日本中学校体育大会は個人総合最下位だったが急成長。エースとして、団体と個人総合で世界一を狙う。2位の萱和磨(24=セントラルスポーツ)も代表に決まった。

 東京五輪の開催が決まった8年前、人ごとだった小学6年生がいた。「東京でやるんだぁくらいの感じ」。リオ五輪で日本が団体を制した5年前、明るい未来を描けない中学3年生がいた。「五輪は夢のまた夢だよな」。同年の全国中学校体育大会は、足の故障もあって個人総合で最下位。5年で急成長した橋本が、タイトルと五輪切符をつかんだ。

 「まだ実感はないけど、代表として戦っていくのは大きな責任がある。五輪をやって良かったとか、体操ニッポンが金メダルで良かったと思ってもらえるようにしたい。これから最強ニッポンをつくり上げていきたい」

 2種目目のあん馬でバランスを崩したが、「落ちねえよっ!」と闘志全開で落下を回避した。跳馬は最高難度「ヨネクラ」に挑む予定も、器具に手をついた瞬間に「無理」と判断。ひねりが半分少ない「ロペス」にして着地を止めた。平行棒の着地が大きく乱れ、2位・谷川航と0・004点差で迎えた最終種目の鉄棒。落ちたくない一心でバーを強く握って腕力は限界だったが、耐えて粘った。

 予選7位から逆襲して戴冠した全日本後、家族の記憶にないほど「疲れた」と連発。疲労に加え大学の課題にも追われ、今大会に向けてギアを上げたのは1週間前だった。「差をつけて勝つ」と誓いながら、この日の得点は3番手。「内容は良くなかったので、うれしさはあまりない」。高い理想が、満足感に浸ることを許さない。

 内村不在の団体総合では得点源の期待を背負い、全日本で今季世界1位の得点をマークした個人総合も金メダルを狙う。「内村さんのようにチームが金メダルを獲得できる要因、存在になりたい。世界一の選手になれば、日本のエースにふさわしいと思う」。体操ニッポンには、黄金の未来を描く19歳がいる。

 ◆橋本 大輝(はしもと・だいき)2001年(平13)8月7日生まれ、千葉県出身の19歳。千葉・市船橋高3年だった19年世界選手権は男子で白井健三(日体大教)以来2人目の高校生代表として団体総合の銅メダルに貢献した。4月の全日本選手権で初優勝。順大。1メートル66、57キロ。

 ▽東京五輪への道 団体の枠は4で、NHK杯で橋本と萱が決定。残り2人は、6月の全日本種目別選手権も含めて代表2人との組み合わせで最もチーム貢献度が高い選手を選ぶ。種目別は全日本種目別までの計5演技で選考。各種目各演技で日本協会が作成する世界ランクで1位かつ0・2差以上の得点に40点、1位30点、2位20点、3位10点、4位5点とポイントを与え、合計1位が代表になる。

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