子供たちの体づくりをしっかり

[ 2020年11月25日 05:30 ]

前関学大アメリカンフットボール部監督・鳥内秀晃氏
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 【名将鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】最近の出来事で一番ビックリしたわ。オレの住んでる大阪市は、小中学校の給食が無償やねん※1。それはええねんけど、知り合いの孫が公立中へ行っとって、給食の中身を聞いたら、ありえへんくらいひどいな。量は全然足らへんし、おかずの内容も話にならんわ。ある日なんか、ドライカレーのビビンバ、スープ、牛乳だけやで。学校に食べ物を持って行くのが禁止されとって、売店もあらへんって、食べ盛りの中学生、特に運動してる子なんか、そんなんで足りるわけないわな。

 小中学校って、体が成長する一番大事な時やん。食育であかんってことは、脳みそにも栄養が回らへんってことやねん。どんどん食べなあかん時期に、十分食べられへんって、どういうことやねん。戦後すぐの、モノがない時やあるまいし、頼むでホンマ。

 聞いたら、ホテルのシェフとか、料亭の主人が栄養価を考えて、レシピを考えてる自治体もあるそうやん。ただにする代わりに内容が乏しくなったら、それこそ本末転倒ちゃうの。松井一郎大阪市長は子供の栄養問題について、惨状を知ってるんかな。

 一方で、コンビニとか、レストランの食べもんはすぐに放られて、食品ロスが問題になっとるやろ。捨てるんやったら、何とかして活用できひんもんかな。「その日に食べて」いうてクラブやってる子とかに配ったら、賞味期限も大丈夫やん。連係してできることはあると思うけどなあ。

 やっぱりな、子供って財産やねん。日本は資源のない国やろ。そういう国やからこそ、教育についてもっと真剣に考えて、子供たちの体づくり、頭づくりはしっかりやっていかなあかんねん。今はコロナの影響で、国も自治体もお金に困ってるやん。それでも、子供の食費だけは絶対に削ったらあかんと思うわ。政府も国民の生命と財産を守るっていうなら、子供とか弱者に、優先的に投資すべきちゃうかな。

 教育のことでいうと、コロナでリモートの授業を経験して、対面授業がどんだけ大事か分かってきたんとちゃうかな。人と会話することで、主体性を身につけたり、想像力をかきたてられたりして、メッチャいろんなことを学べるねん。小学校くらいから少人数で意見を戦わせるような授業が増えたら、この国の未来も変わるやろな。 (関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

 ※1 大阪市は保護者の経済的負担を軽減するため、2020年度の給食費を無償化する条例を3月26日に市議会本会議で可決。

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2020年11月25日のニュース