荒磯親方、混戦必至の秋場所を占う 実力通りなら2桁堅い朝乃山 貴景勝は「下から上」意識を

[ 2020年9月13日 11:00 ]

大相撲秋場所 13日初日

荒磯親方
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 今年に入って2回も幕尻が優勝しているのを見ると、今場所も何が起きてもおかしくありません。両横綱の休場で混戦になりそうですが、優勝争いは両大関が引っ張っていくことを期待します。

 朝乃山には右四つの安定感があります。出稽古ができなかったことで初日に相撲を取ってみないと分からないという不安はあるでしょうが、先場所のような相撲が取れれば2桁以上は見えてきます。初日の相手は相撲のうまい遠藤ですが、朝乃山には馬力の強さ、1歩目の強さがあります。馬力はうまさを制することができます。そういう相撲が取れれば、さらに安定感は増すでしょう。

 貴景勝はケガが多かったため、切れがなくなってきました。いいときは下から上に持ち上げる強さがありましたが、今は力が上から下に行っています。腰の形が決まって下から上への突き押しが出てくれば相手は何もできなくなります。それを意識していくことが課題です。

 3関脇では特に正代が力をつけてきました。反り腰で腰が高いと言われますが、それを武器にしています。これから腰を曲げて頭をつける相撲を取れといってもできるわけではなく、今の相撲を伸ばしていけばいいでしょう。逆に御嶽海は今までのスタイルを変えていくぐらいの気持ちが必要です。器用なタイプですが、相撲では器用貧乏になりがちです。突き押しにこだわるとか、もろ差しにこだわるとか、一つのものを伸ばしていくことも大事です。私もそうでしたが、何か一つ変わった瞬間に一つ上が見えてくるはずです。

 照ノ富士は先場所、勢いで星数を重ね、上位にも勝って優勝しました。初日から上位陣と当たる今場所が本当の勝負になります。基本に忠実に右四つに組み止めるようになり、そういう相撲を取れば対戦相手も嫌だろうしケガもしにくくなる。絞り上げながら左を取りにいくような相撲を意識することで、また強い照ノ富士が出てくるでしょう。(元横綱・稀勢の里)

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