くまもと阿蘇CC湯の谷コース 4年1カ月ぶり復活 16年熊本地震で被災

[ 2020年5月14日 08:03 ]

くまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コース。4番パー4では外輪山の雄大な姿が見渡せる
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 熊本県で最古の歴史を持つくまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コース(熊本県南阿蘇村)が5月15日、熊本地震から4年1カ月ぶりにオープンする。2016年4月の地震で大きな被害を受け休業を余儀なくされてきたが、コースの修復・整備が実を結び、熊本県内のゴルフ場では最後となる営業再開にこぎ着けた。

 通称「湯の谷」と呼ばれるくまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コースは熊本県で初のゴルフ場として1952年(昭27)9月23日に開業した。牧草地だった原野にゴルフ場設計の名匠と謳われる井上誠一、保田与天の両氏がレイアウト。ブルトーザーなどの重機を入れずフェアウエーの独特なうねりもそのまま自然の地形を活かして造られた。阿蘇のカルデラの景観も大きな魅力でゴルフダイジェスト社による「日本のベスト100コース」にも選ばれている。
 4年1カ月ぶりのオープンに際し、クラブは新たにコースを改造した。名物ホールだった旧3番パー5は、第2打地点(ティーショットの落下地点)が小高くピークになっていることから「馬の背」と呼ばれてきた。自然の地形を生かしたものだったが、第1打がスライスすると右隣の5番ホールまで落下。フックして左に落ちればOBになり、プレーヤー泣かせの難所でもあった。そこで吉村金八プロ(城南観光株式会社社長)が監修し、馬の背の手前に新たなグリーンを作り3番をパー3に改造した。

 「馬の背には新たにティーイングエリアを作った。ここは景色は抜群で絶好のフォトスポット。気持ちよくティーショットを打っていただきたい」と吉村プロ。新設の4番ティーは360度阿蘇のパノラマが望まれ、右は阿蘇五岳の杵島岳、正面と左には外輪山が雄大に広がり、息をのむほどの景観が堪能できる。4番は馬の背から旧4番(パー3)のグリーンに向かう右ドッグレッグのパー4となり、トータルはパー71に変わった。

 営業再開を前に永畑雄一郎総支配人は「被災直後はどこから手を付ければいいのか分からないほど被害は甚大だった。よくゴルフ場の形に戻ってくれたと思うと感慨無量。とにかくうれしい」と感激の面持ちだ。99年再春館レディース優勝の平尾南生子プロが支配人に就任しフロント業務も強化。乗用カート50台にはiPadゴルフカートナビを装備し、よりスムーズなプレーをアシストする。約1200人の旧会員に加え1300人が新規入会してメンバーの期待も高まる。馬の背の眺望を生かしながらよみがえった熊本最古のコースが再びゴルファーの挑戦を待ち受ける。

 ○…2016年の熊本地震でコースは甚大な被害を受けた。4月14日夜、16日未明の2度、震度7の強い地震に襲われ、南阿蘇地区では阿蘇大橋(通称赤橋)が崩落するなど激しい被害を受けた。コースは「馬の背」の3番パー5のティーイングエリアが崩れ落ち、フェアウエーに亀裂と段差ができた。阿蘇登山道が崩壊し11、12番に土砂が流入。13番のグリーンは半分が崩れ落ちた。再開の見通しも立たないほどの惨状だった。コースは荒れ放題になったが、約1年半後に行政の補助金交付が決まり、オーナーの米澤義一氏が再建を決意。被災して2年目から本格的に湯の谷コース復旧の動きが始まった。

 熊本地震では県内ほぼすべてのゴルフ場が被災し、休業を余儀なくされた。被害が大きかった南阿蘇地区はあつまる阿蘇赤水、阿蘇リゾートグランヴィリオが16年5月末まで、阿蘇大津は同7月9日まで休業。阿蘇グリーンヒルは17年4月1日の開業まで約1年間クローズが続いた。阿蘇東急は2年後の18年7月にアウト9ホールのみの営業を始め、昨年4月から全18ホールの営業を再開。休業が続くのは湯の谷コースのみとなっていた。

 【くまもと阿蘇カントリークラブ湯の谷コース】
 ▽コース 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽5992―2
 ▽面積 80万平方メートル
 ▽開場 1952年(昭27)9月23日
 ▽設計 保田与天
 ▽監修 井上誠一、吉村金八
 ▽グリーン ベントの2グリーン
 ▽問い合わせ・予約 電0967(67)0321、ファックス=0967(67)1275
 ▽ビジター料金 平日6000円、土日祝8920円、休場日(月、金=完全セルフ)5000円、追加・薄暮(平日・土日祝)2500円。(プレーはセルフ・4バッグ)

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2020年5月14日のニュース