水谷 4大会連続単五輪出場ならず「このままでは終われない」 団体戦メンバー入り狙う

[ 2019年12月14日 05:30 ]

卓球ワールドツアー・グランプリファイナル第2日 ( 2019年12月13日    中国・鄭州 )

<卓球Gファイナル第2日>男子シングルス1回戦でカルデラノ(奥)にポイントを奪われ、さえない表情の水谷隼
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 男子シングルス1回戦などが行われ、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストで世界ランク14位の水谷隼(30=木下グループ)が同6位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)に1―4で敗れ、4大会連続となるシングルスでの五輪代表入りを逃した。世界ランキングのポイントで2番手の丹羽孝希(25=スヴェンソン)を上回ることができなかった。水谷は伊藤美誠(19=スターツ)と組む混合ダブルスでは決勝進出。3人目の団体戦要員での東京五輪代表入りを狙う。

 卓球界をけん引してきた水谷が東京五輪でシングルスを戦う姿を見せられない。その事実を突きつけられた水谷には涙も落胆もなかった。「状況は厳しかったので気持ちの整理はついていた。終わったなという感じで、いつ卓球をやめてもいいくらい後悔はないです」。達観した表情で激動の1年間を振り返った。

 シングルス代表入りには世界トップが集まる今大会で2勝が絶対条件という厳しい条件だった。リオ五輪で勝利していたカルデラノと再戦。3年半の間に成長した相手に対して、腰痛も抱える水谷はイメージと体の動きが一致しなかった。第3ゲームは水谷らしい台から距離をとったラリーでジュースを制したが「自分が自分じゃないパフォーマンス」といら立ちを隠せなかった。

 数々の偉業を成し遂げてきたベテランも近年は体の不調に悩まされてきた。2年前からボールが見えにくいという自覚症状があった。LEDライト対策としてサングラスを何度も試したが、根本的な解決にはつながらなかった。逆に目の不調で満足な試合ができないことがストレスとなって卓球への情熱が薄れた。「勝利への執念が欠如してきた。卓球がつらい、もう無理だなと心の中で思っていた」と“引退”を示唆するような言葉も口を突いた。葛藤に悩みながら「応援は(心の)奥底に響いていた」とファンのためにラケットを握り続けた。

 「このままでは終わりたくない」。ミックスゾーンで水谷の本音がこぼれた。団体戦のメンバー入りは過去3度五輪を経験した水谷の実績や世界ランクも合わせると選出は有力だが、14日に行われる混合ダブルス決勝で優勝を手土産に代表入りへ最後のアピールをするつもりだ。「闘争心がないと五輪で良い成績は残せない。混合ダブルスで結果を残して団体戦に選ばれたい」。消えかかった闘争心に金メダルで再点火する。

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