史上初「3世代」で関取 2代目琴ノ若、父のしこ名継承

[ 2019年5月30日 05:30 ]

新十両の琴鎌谷(左)は父である佐渡ケ嶽親方と共に、新しいしこ名「琴ノ若」を発表した
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 日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、琴鎌谷改め琴ノ若(21=佐渡ケ嶽)ら4人の新十両昇進を決めた。

 父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)で、史上10組目の親子関取が誕生。母方の祖父は先代の佐渡ケ嶽親方(元横綱・琴桜)で“親子3代”での関取となった。一山本(25=二所ノ関)、竜虎(20=尾上)、木崎海(24=木瀬)も新十両に昇進し、再十両は貴ノ富士(22=千賀ノ浦)。 

 左隣には父でもある師匠の佐渡ケ嶽親方。後ろには母方の祖父で先代師匠の琴桜の優勝額とケースの中に飾られた真っ白の綱が控える。史上初「3世代」での関取誕生。

 千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で行われた晴れやかな会見の席で、初々しい表情を見せた琴ノ若は「やっという感じですかね。一つだけ親孝行ができたかな」と表情を引き締めた。

 会見前には祖父の墓前に出向いて父と昇進を報告。師匠の現役時代をしこ名に改め、名前は祖父の「傑将(まさかつ)」から1字もらい「傑太」(まさひろ)に変えた。「この名に恥じぬように、しっかり精進していきたい」と恐縮したように話した。

 相撲一家に育った琴ノ若は、幼少期から注目され、鳴り物入りで角界入り。幕下までは順調に番付を駆け上がったが、そこから三段目に陥落するなど停滞した。自己最高位で迎えた夏場所は3連勝から3連敗。

 昇進を意識して受け身になってしまった。だが師匠から「何を意識しているんだ。自分の相撲を信じていけ」と一喝され開き直った。7番相撲で勝ち越しを決め、3年半で最初の夢をかなえた。
 1メートル89、153キロの恵まれた体格を生かしたスケールの大きな取り口は将来性も十分。「まずは十両で勝ち越し、新入幕、関脇と、師匠に追いつくことが今の目標」と話す。現役時代に強烈なぶちかましで「猛牛」と呼ばれた祖父は、孫が大関以上になれば「琴桜」の襲名を生前から認めていたという。

 忘れられない言葉がある。幼少期の相撲大会。初めてメダル(銀)を獲ったのに祖父から「1位じゃないと意味がない。金メダル獲ってこい」と突き放された。祖父の横綱昇進は32歳2カ月と遅咲き。その遺伝子を次ぐ21歳の挑戦は始まったばかりだ。
 
 ◆琴ノ若 傑太(ことのわか・まさひろ=本名・鎌谷将且)1997年(平9)11月19日生まれ、千葉県松戸市出身の21歳。2歳から相撲を始め、地元の柏少年相撲教室で活躍。埼玉栄高では、3年時のインターハイ(兵庫県)で団体優勝などに貢献。世界ジュニアでも個人重量級を制す。15年九州場所初土俵。ライバルは「自分自身」。得意は右四つ、寄り、押し。1メートル89、153キロ。血液型AB。

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2019年5月30日のニュース