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世界フィギュア テレビ桟敷の小言幸兵衛日記

(左)2012年、伝説のニースでの世界選手権。演技を終え右手人差し指を天に突き出す羽生選手。(右)2017年、ヘルシンキでの世界選手権。同じように右手人差し指で天を指す羽生選手
Photo By スポニチ

 【長久保豊の撮ってもいい?話】テレビ画面に向かってブツブツ言うのは中年男のサガである。最近は各局で繰り返し流される羽生結弦選手の世界選手権フリーのフィニッシュシーンの映像に文句をつけている(ヘルシンキに行けなかったのでやっかみが8割だ)。

 「そこはもっと引き(ワイド)だろう」

 演技を終えた表情をアップで狙うカメラワークは印象的だった。でも彼が会心の演技をした後に見せる天に向かって指を突き上げるシーンも見たかったな、と。映像では右肩の動きでなんとなくその瞬間はわかるけど…。

 一昨年のバルセロナでのGPファイナル「SEIMEI」の完ぺき演技を思い出した。フィニッシュでダーンッと両手を開いた後、羽生選手は刀印(中指と人さし指で作った刀の形)を作った両手を体の前ですり合わせる動作を行った。何を意味していているのか?

 帰国後に確認すると、テレビ映像はダーンッの直後に表情をズームアップ。その後、映像は観客席に切り替わり刀印の動作はなし。それが式神たちをもとの姿に戻す所作だと知ったのは映画「陰陽師」を見直してからだ。競技演目としての「SEIMEI」はダーンッのフィニッシュまで。だが演技者、表現者としての羽生結弦のフィニッシュはまだ先にあったということ。

 最後のスピンから徐々にズームアップしてフィニッシュは顔のアップ。リンクサイドからテレビ桟敷の小言幸兵衛と化した私にはカメラワークの定番化が気になるところだ。

 実は今季のフリープログラム「Hope & Legacy」はスチールカメラマンにとっては難敵だった。写真的な「決めの一瞬」はどこにあるのか、「SEIMEI」で物語を演じた彼の次の狙いは何なのか、模索が続いた。

 世界選手権フリー。彼は曲を演じ、音を演じた。ジャンプの着氷時にエッジが立てる音さえも曲に忍び込ませた。「Hope & Legacy」という曲の価値を見ている人に再認識させた。もはや「決めの一瞬」などどうでもよい。われわれがこのプログラムで撮らなければならなかったのは曲が聞こえて来るような写真。音が飛び出してくるような写真。

 帰国時の羽田空港での会見。「4回転アクセル」と彼自身の口から言わせたい報道陣とそれを承知の羽生選手の攻防があった。昨年、当コラムの1回目(12席分のトリプルアクセル)でその練習をにおわせるようなことを書いといて恐縮だが、やる必然性はなくなったと思う。

 ライバルたちに追い詰められた? いやそれは全然、まったく。

 だからテレビの人、今度からズームアップはもう少し我慢して。右手人さし指を天に向けるのはボクらにとって特別なシーンだから。(写真部部長)

 ◆長久保 豊(ながくぼ・ゆたか)1962年生まれ。世界選手権の期間中、「現地に長久保さんがいない!」というネットの書き込みを見てドキドキしちゃった55歳(もちろん話題になったのは先生の方)。諸般の事情によりカメラはお休み中。

[ 2017年4月7日 09:30 ]

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