石川遼、かつての“アイドル”と決別したパフォーマンス拒否

[ 2015年10月1日 10:15 ]

ANAオープンで優勝した石川遼は国内ツアー12勝目。大会初日の17日は24歳の誕生日だった

 先々週、北海道の札幌GC輪厚Cで開催された男子ゴルフのANAオープンで石川遼(24=CASIO)が優勝した。1年2カ月ぶりの国内ツアー12勝目だった。

 初日の9月17日は石川の24歳の誕生日だった。ホールアウト後にクラブハウスでお祝いのセレモニーが行われた。大会を主催するANAのキャビンアテンダントから花束を手渡される簡単なイベントだったが、そこでちょっとした事件があった。

 石川が年男だということで、司会者が「“鬼は外、福は内”とやっていただけますか?」と豆まきパフォーマンスを要求したのだ。豆まきは2月の節分にやるもの。9月にやるのは「季節外れ」と言うか「的外れ」だ。司会者自身が「無茶ぶりですか」と言うほどの強引な演出。見守った報道陣もあきれ返っていた。

 当然、石川も「えっ?やるんですか?」と戸惑った。それでも「お願いします」と司会者はゴリ押し。しばらく押し問答が続いたが、最終的には石川が「やりません」ときっぱりと断った。

 15歳でツアー初優勝した当時は「ハニカミ王子」と呼ばれた。人気タレントを抑えてCM本数1位なったこともある。ゴルファーの枠を超えた全国区のアイドルだった。自身もゴルフ界を盛り上げるため、その役割を受け入れてきた。しかし米ツアーで経験を積み、年齢を重ねて心境の変化もあったはず。パフォーマンス拒否は、ある意味、アイドルを演じてきた自分への決別にも見えた。

 石川は「このゴルフがハマればアメリカで勝てると思ってもらえるプレーをしたい」とも言った。ゴルファーとして評価されたい。そんな心の叫びだったのだろう。アイドルから脱却を図った大会で勝った。きっと溜飲を下げたに違いない。(福永 稔彦)

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2015年10月1日のニュース