白井 東京五輪では“万能王子”に!内村「まだ下手」

[ 2013年10月9日 06:00 ]

帰国会見で4個のメダルをかけ、ドヤ顔の内村(左)をうらやましそうに見つめる白井

 TOKYOのエースを目指して、万能宣言だ。体操・世界選手権の男子床運動で新技「シライ」を決めて金メダルを獲得した白井健三(17=岸根高2年)ら日本代表が8日、開催地のベルギー・アントワープから帰国。都内で会見した“ひねり王子”は得意の床運動、跳馬だけでなく他の4種目でも成長を誓った。最強オールラウンダーになって、20年東京五輪で体操ニッポンをけん引する。

 衝撃の世界デビューから帰国すると、17歳をとりまく環境は激変していた。9月20日の出発時は報道陣10人ほどに見送られた白井だが、帰国会見には100人超のメディア関係者がズラリ。だが、試合で緊張したことがないという強心臓の持ち主は、無数のフラッシュを浴びてマイクを握っても動じない。「思い切って演技しようと決めていた。目標が達成できて良かった」と胸を張った。

 金メダルを獲得した床運動で決めた「後方伸身宙返り」に「シライ」と名がつき、4位だった跳馬の「伸身ユルチェンコ3回ひねり」も韓国人選手との連名で「シライ/キムヒフン」となった。高速ひねりを武器に、初めての大舞台で歴史的な一歩を刻んだ“ひねり王子”だが、満足感に浸るのは一瞬だけ。7年後、23歳で迎える20年東京五輪に向け、「チームを引っ張る存在になりたい」と早くも気合を入れた。

 体操ニッポンの「エース」は内村のように6種目の個人総合で圧倒的な強さを見せる選手だけの称号だ。白井は床運動と跳馬は得意だが、個人総合は全国高校総体3位、全日本ジュニア3位と同年代にも勝てないレベル。特に、つり輪とあん馬が苦手だ。内村が「(白井は)2種目ともまだまだ下手。50点くらい」と指摘すれば、白井も「オールラウンダーにならないと東京のエースになれない」と進化を誓った。

 次戦は12月の豊田国際(スカイホール豊田)が濃厚。凱旋試合の前に、白井には高校2年生らしい悩みがある。岸根高では11日から2学期の中間テスト。「駄目です。非常に良くない。全然勉強していなかった。まあ、言い訳があるから大丈夫かな」。自信満々だった世界選手権から、舞台は学校の教室へ。答案用紙に書き込む答えには、どうやらひねりなし。文武両道のオールラウンダーへの道は、少し険しい。

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2013年10月9日のニュース