疲れ知らずの二刀流 パナソニック山田“本職”で2トライ

[ 2012年9月2日 06:00 ]

<リコー・パナソニック>後半24分、トライを決める山田

ラグビー トップリーグ第1節最終日

(9月1日 秩父宮)
 6試合を行い、昨季準優勝のパナソニックは同7位のリコーを44―13で下した。パナソニックは今季からアメリカンフットボール・Xリーグ、ノジマでの試合出場をも兼ねる、二刀流プレーヤー山田章仁(27)がフル出場し、2トライを挙げる大活躍。チームに勢いをつけ、2季ぶり優勝奪還へ好発進した。

 Xリーグとの二刀流挑戦も本職で頑張らなければ格好がつかない。山田は前夜、アメフトのノジマのリターナーとして出場したアサヒビール戦で左膝を打撲。患部はテーピングが施されたが、アメフト仕込みの動きで観衆を魅了した。

 後半24分、抜け出したFB田辺をサポートしてインゴールに飛び込み、この日最初のトライ。5分後には敵陣内でSO野口から短いパスを受け取ると、相手の人数が少ない縦のスペースに切れ込み30メートルを走りきった。今季最初の試合で存在感を示し、「(二刀流が)話題づくりではないと分かってもらえたと思う。2つの球技でヒーローになりたい。きょうはいいスタートが切れた」と会心の笑みを浮かべた。

 「もっと自分のプレーをいろいろな人に見てもらいたい」と注目度アップと競技力向上を狙い二刀流を決断。当初は同じパナソニックのアメフト部入りを模索したが、会社の規定で認められなかったため関係者の紹介で5月からノジマに加入。6月まではアメフト中心で、7月の合宿からラグビーに比重を置き、現在はウイークデーがラグビー、週末がアメフトの二重生活を送っている。

 この日は、その経験が実戦で生かされた。「僕がリターナーとしてボールを持つと、相手と味方に囲まれて穴がない。そこからいかに空いた場所を探すかを学んだ」。常に密集の中でプレーをする状況下で芽生えたのは、スペースを探す感覚。体重は5キロ増の88キロでステップの切れは悪くなったが、ディフェンスの手薄なところへ縦に切れ込む新スタイルを習得。トライ以外にもチャンスを演出した。最初は二刀流に懐疑的だった中嶋則文監督(37)も「相手のスペースを見つける感覚が格段に良くなった」と評価していた。

 ◆山田 章仁(やまだ・あきひと)1985年(昭60)7月26日、福岡県生まれの27歳。5歳からラグビーを始め、WTBとFBをこなす。小倉高から慶大に進み、U―19、U―23各日本代表。06年に7人制日本代表としてドーハ・アジア大会金メダルに貢献。08年にホンダ入りし、10年に三洋電機(現パナソニック)へ移籍。11年に日本代表候補に初選出。1メートル81、88キロ。

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