サニブラウン リオ断念「20年東京五輪目標に頑張る」
怪物スプリンターの夢が断たれた。日本陸連は22日、昨年の世界選手権男子200メートルに最年少で出場したサニブラウン・ハキーム(17=城西高)が左太腿の違和感で日本選手権(24日開幕、愛知・パロマ瑞穂スタジアム)を欠場すると発表した。同選手権はリオデジャネイロ五輪の代表最終選考会を兼ねており、五輪代表は絶望的に。もう一つの目標だったU20世界選手権(7月、ポーランド)の代表からも外れた。
今年で100回目を迎える日本選手権の主役候補が、スタートラインに立てなかった。サニブラウンは17、18日の南関東高校総体に出場。男子400メートルリレーの1走として城西高の優勝に貢献したが、決勝が行われた18日の練習で左太腿に違和感を覚えたという。ベストの状態で日本選手権に臨むことができないため、欠場を決めた。発表されたコメントに、17歳の無念がにじんだ。
「今年初めから目標の一つにしてきたU20世界大会2冠と五輪出場でしたが、断念することとなりました。監督、家族とも話し合い、苦しい決断をしなければならず本当に悔しい気持ちでいっぱいです」
昨年の世界ユース選手権では、200メートルで世界記録保持者・ボルト(ジャマイカ)の大会記録を更新するなど100メートルとの2冠を達成。世界選手権の200メートルには世界最年少で出場し、予選と準決勝で同走したガトリン(米国)が驚くレースを見せた。今季は2種目でのリオデジャネイロ五輪出場を目標に設定。高校総体の個人種目にはエントリーせず、世界だけを見据えていた。
シニアの大会に積極的に出場し、5月には中国で100メートル10秒22の自己記録をマーク。リオ五輪参加標準記録の10秒16に迫り、既に参加標準を破っている200メートルとの2種目出場が現実味を帯びる中、失意のリタイアとなった。強化委員会の推薦による五輪出場の可能性も残すが、200メートルは記録到達者が複数いるため極めて厳しい。日本選手権が行われるパロマ瑞穂スタジアムは母・明子さんが高校時代、全国高校総体に出場した競技場。母が駆けたトラックで、五輪代表を決めることはできなかった。
リオ五輪とともにU20世界選手権の2冠も目標だったが、この日発表された同選手権の代表から外れた。指導する山村貴彦監督(36)によると、サニブラウンは意気消沈しながらも気丈に振る舞っているという。「20年東京五輪を目標に、今できることから精いっぱい頑張ります。今回のことがあったからこそ、強くなったと言えるように、日々努力していきます」。前向きにコメントを締めくくった17歳は、信じている。この悔しさが、未来の大記録につながることを――。
▼男子200メートルリオデジャネイロ五輪への道 (1)日本陸連の派遣設定記録(20秒28)を満たし、日本選手権8位以内の最上位選手(2)参加標準記録(20秒50)を満たす日本選手権優勝者は内定。他に派遣設定突破&日本選手権8位以内、参加標準突破&日本選手権3位以内の順に選考する。
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