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竹内 120万人に1人の難病告白…命懸けで手にした銅

[ 2014年2月19日 05:30 ]

銅メダル獲得に感無量の表情の竹内

ソチ五輪ジャンプ男子団体 日本銅メダル

(2月17日)
 こみ上げてくる思いを竹内はこらえ切れなかった。「気持ちとしても、体としても精いっぱいできた」。9日のノーマルヒルで24位、15日のラージヒルでも13位といずれも日本勢最下位と振るわなかった。だが、そこから数日で立て直し、1本目に127メートル、2本目に130メートルを飛んで仲間の期待に応えた。

 命懸けで手にしたメダルだ。試合後に初めて明かした病名はチャーグ・ストラウス症候群。血管が炎症を起こす難病で「8割方そうだと言われた。メダルを獲れなかったら言い訳にも聞こえてしまうので、結果を残して公表したかった。同じ病気で苦しんでいる人に元気を届けたいという思いも込めて飛んだ」

 今季序盤は表彰台に上がるなど絶好調だったが、高熱が続き1月上旬にW杯遠征を切り上げて帰国。精密検査の結果は、以前から抱えていたぜんそくの悪化ではなかった。病気のせいで肺炎にもかかっており、すぐに入院。「難病と聞いて、もしかしたら死んでしまうんじゃないかと脳裏をよぎった。もちろん五輪に出られないことも考えた」。入院直後は呼吸器が必要なほど衰弱しており、さらに症状を抑えるために大量に服用するステロイド剤が筋力を低下させた。バスケットボールのゴールリングに手が届くほどの跳躍力は衰え、体重も落ちた。スキー板の長さも短くし、ジャンプは一から再構築せざるを得なかった。

 励みになったのは病室に飾られた自らの写真だった。父・亨さん(51)がジャンプ姿を拡大し、胸に丸く切った金の紙を貼り付けてくれた。症状が落ち着くとエアロバイクを病室に持ち込み体力回復を図った。五輪への思いが体を突き動かした。「先輩たちに助けてもらってメダルが獲れた。感謝しかない」。涙を流してかみしめたのは、メダルの喜び以上に周囲への感謝だった。

 ▽チャーグ・ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎) 全身の細い血管に炎症が生じる疾患で、120万人に1人が発症するといわれる難病。発熱や体重減少、手足のしびれ、消化管出血、関節痛などの症状が起き、時には脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などを起こす。原因は不明で、何らかの抗原刺激で起こるアレルギー反応が関係しているとされる。一般的な治療方法はステロイド投与だが、症例数が少なく、治療指針はまとまっているとはいえない。日本の年間新規患者数は約100例。1951年にチャーグとストラウスが病気として提唱。

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2014年2月19日のニュース