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藤原、日本男子5大会ぶりメダルへ“一家団RUN”作戦

[ 2012年7月6日 06:00 ]

サンモリッツでの高地合宿に出発した藤原

 五輪開幕まで、6日であと3週間。ロンドン五輪の男子マラソン代表・藤原新(30=ミキハウス)が5日、成田空港からスイス・サンモリッツでの高地合宿へ出発。最後の追い込みを行う現地に、29日から優子夫人(37)、長女・葵衣(あおい)ちゃん(1)が合流することが分かった。30日には愛娘の2歳の誕生日を祝うなど、家族と過ごす時間を活力にしてラストスパートをかける。

 一番苦しい局面で、最高の援軍がやってくる。最終合宿地のサンモリッツに旅立った藤原はこの日、「合宿の途中から応援に来ることになっています」と、7月29日から優子夫人と長女・葵衣ちゃんが合流することを明かした。30日は愛娘の2歳の誕生日。合宿終盤は疲労もピークに達しており、家族と過ごす時間は最高の活力になることは間違いない。

 藤原は1日の札幌ハーフマラソンで日本人トップの6位に入った後、大急ぎで新千歳空港、羽田空港と経由し、妻子が暮らす富山へ向かった。「ゆっくりリラックスできた」と振り返るように、この日の出発までつかの間の休息を過ごした。2月の東京マラソン前に「(副賞の)BMWを獲ってこい!」など藤原にゲキを飛ばしてきた愛妻だが、今回の富山滞在では厳しいエールはなし。「気を使ってくれたんじゃないですかね」。サンモリッツ合宿でも、家族がいることでリラックスできる。関係者も「精神的にもいいのではないでしょうか」と説明した。

 五輪本番で激突するケニア、エチオピアのアフリカ勢は、圧倒的なスピードだけではなく、自在なペース変動が大きな武器。「合宿ではペース変動に対応できるように坂道ダッシュや、クロスカントリーを取り入れた練習をしていきたい」と藤原もテーマを掲げる。8月4日のロンドン入り後は、集中力を高めるため家族と離れて調整。「集中モードで余計なことは一切しない。ただ走るだけって精神状態にしたい」と、選手村には入らず、ロンドン郊外に確保した拠点からスタートラインに向かう。

 東京マラソンでブレークするまでは無所属無収入。どん底の状態からはい上がった「成り上がりランナー」は、日本のエースとして夢舞台に挑む。号砲は8月12日。「帰国した時に、みなさんに待っていてもらえるような結果を出したい」。次に日本の地を踏むのは、ロンドン五輪後。携えるものは、もちろん、日本男子として5大会ぶりのメダルだ。

 ◆金メダリストの最終調整

 ☆高橋 尚子(00年シドニー五輪金メダル)5月に米コロラド州ボールダーで高地合宿をスタート。7月に1度帰国し、札幌国際ハーフマラソンに出場して1時間9分10秒で優勝。レース5日後には再びボールダーに戻り、五輪本番に備えた。

 ☆野口 みずき(04年アテネ五輪金メダル)7月にアテネ五輪の本番コースを試走し、スイス・サンモリッツへ移動して高地合宿を実施。ツチノコやUFOを目撃するという不思議な現象も経験した。五輪連覇を狙った08年北京五輪前にもサンモリッツで合宿を行ったが、左脚付け根を故障して無念の五輪欠場に追い込まれた。

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2012年7月6日のニュース