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被災地からただ一人 五輪聖火ランナーに選ばれる

[ 2012年6月10日 06:00 ]

 東日本大震災で2歳の娘を失いながら、職場の復旧に尽力した仙台市のホテルマン三品貞治さん(31)が、ロンドン五輪の聖火ランナーに被災地からただ一人選ばれた。今月25日(現地時間)に英国中部リーズ近郊の街モーリーを走る。

 三品さんは仙台市のホテル「ANAホリデイ・イン仙台」の宿泊予約担当の幹部社員。震災時、津波で当時2歳の娘が行方不明になり、当時宮城県多賀城市にあった自宅も被災したが、ホテルにとどまり客の安全確保に追われた。

 約1週間後に娘の遺体が見つかった。しかし1カ月もたたないうちに職場復帰。ホテルを少しでも早く通常態勢に戻すため、リーダーとして休みなく連日深夜まで勤務。その様子に感心した上司が公募に推薦した。

 ロンドン五輪組織委員会は「想像を絶する被害に直面しながらも、顧客や同僚のため懸命に努力を続けた。その謙虚さや団結の精神は手本とされるべきだ」と三品さんの選考理由を説明し、称賛した。三品さんは選出を知らせるメールが届くとすぐ天国の娘に「やったよ」と報告した。

 三品さんには今年1月に息子が誕生。「彼が大きくなったら、聖火ランナーになったことを自慢したい」と話している。

 ロンドン五輪の聖火リレーは先月19日開始。日本からはもう1人、家電量販店エディオン社長でJリーグ・サンフレッチェ広島会長の久保允誉さん(62)が選ばれている。

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2012年6月10日のニュース