【有馬記念】岡田スタツド生産 タイトルホルダー&メロディーレーン、若駒時から光った強じんなスタミナ

[ 2021年12月21日 05:30 ]

岡田スタツド代表・岡田牧雄氏
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 クロノジェネシスVSエフフォーリア。ノーザンファーム生産の2強という下馬評の有馬記念だが、そこにくさびを打ち込むのが菊花賞馬タイトルホルダー。同馬の生産者・岡田スタツドは、タイトルホルダーとその姉である個性派メロディーレーンの2頭出し。岡田スタツド代表の岡田牧雄氏(69)に両馬生産の経緯、有馬記念の意気込みを聞いた。

 タイトルホルダーもメロディーレーンも若駒時代から本当に心肺機能が強い馬だと思っていました。母がスタミナのあるメーヴェ(芝2600メートルの12年丹頂Sなど5勝)。私たちの「牡馬は菊花賞、牝馬はオークス」を狙うという方針通りに、それぞれ長い距離に実績のあるドゥラメンテとオルフェーヴルを付けました。うちの牧場ではえりもの広大な敷地で約20時間の昼夜放牧を行っています。近くには鮭の孵化(ふか)場があって熊が近寄るし、エゾシカも何百頭、アライグマも出る。鹿は集団になってもの凄い速さで牧場を横切ったりしますからね。馬は気を抜くことができず、一晩中歩き続けます。朝に様子を見に行くと疲れ果てて、人が上をまたげるくらいに熟睡している。こういう環境で日々鍛えられます。最近、当時の日誌を見返したら2頭とも全く昼夜放牧中の頓挫がありませんでした。普通は何か一つはあるのですが、若駒時代から心身で光るものがあったということですね。

 私は「2歳戦は諦めて、古馬になってからたくさん走ろう」ということをよく口にしています。馬の成長を妨げるようなレース選択をしたくないという思いからです。どうしても他の牧場さんの馬と比較すれば、2歳時の仕上がりは遅れています。それでもタイトルは少し違いましたね。2歳の3月にうちの坂路で15―15をやった時、同世代の他の馬は鼻腔(びこう)を広げてフーフー言って汗はびっしょり。その横でケロッとしていた姿が印象的でした。この時期にビッグレッドファームさん、コスモヴューファームさんと期待の2歳馬を連れ合って交流試合をすることがありますが、その年はタイトルを連れて行きました。無理をさせていないうちの馬は例年離れたどん尻を追いかけるのですが、6頭立てで差のない5着に。きつい坂路を上り切った走りに「これは…」と思いましたね。あのマツリダゴッホ(07年有馬記念優勝)もその時期に4頭立てでボロ負けしていましたから。

 当初は「皐月賞とダービーは諦めて菊花賞1本に絞ろう」と話していました。だけど、タイトルは弥生賞ディープインパクト記念を勝っちゃった。それなら皐月賞へ、となりそこで2着に。無理はさせたくないけど馬は順調。それならダービー(6着)へ、という流れです(笑い)。ダービーは4コーナーで4、5馬身は後続を離してほしいという指示でしたが、それができなかった。ああいう瞬発力を比べるような展開は向いていません。その反省もあり、菊花賞はハナを奪って強い勝ち方をしてくれました。途中で一度ペースは落としたけど、もう少し速いラップでもやれたと思いますね。それだけのスタミナを備えていますから。

 ◇岡田 牧雄(おかだ・まきお)1952年(昭27)5月14日生まれ、北海道出身の69歳。競走馬生産の岡田スタツド代表、種牡馬事業のレックススタッド代表。生産者としてマツリダゴッホ、スマートファルコン、サウンドトゥルー、スマートレイアー、タイトルホルダーなどを生産。実兄の繁幸氏(故人)はマイネルでおなじみのビッグレッドファーム元代表。

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2021年12月21日のニュース