【中京新馬戦】メリトクラシー 福永と見る夢の続き、出世ロードを切り開き見据える先はクラシック

[ 2021年6月8日 05:30 ]

メリトクラシー(撮影・亀井 直樹)
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 まだ梅雨は明けないが、季節はすっかり衣替え。先週スタートした新馬戦に歓喜の声が上がった。好素材が続々と勝ち名乗り。新コーナー「Road to 2022」で評判の2歳馬を取り上げる。今週、中京でデビューするメリトクラシー(牝2=武幸)は父が新種牡馬のシルバーステート。父の背中を知るダービー3勝ジョッキー福永が大きな期待を寄せている。

 メリトクラシーの調教に騎乗した福永から手放しの笑みがこぼれた。2日の1週前追い切り。CWコースでテイクバイストーム(3歳未勝利)との併せ馬で半マイル追い。直線は先行した僚馬の内に進路を取り、4F52秒2~ラスト1F11秒6で半馬身先着。馬なりながら、軽快な伸び脚が目を引いた。

 「いい感じ。スピードがあるし、動きがいい。スタートも速いから千二でも。これなら初戦から動けそうな感じやね」

 純粋に動きそのものも文句なしだったが、福永の笑顔は血統的な背景を踏まえてのもの。父がシルバーステート。特別な思い入れがあることは間違いない。

 シルバーステートは悲劇の馬だ。「ダービーを狙える」(福永)と将来を嘱望されながら、脚部不安でわずか5戦4勝の戦績で引退を強いられた。この馬が無事なら競馬の歴史が…は大げさとしても、16年の牡馬クラシック勢力図は大きく書き換えられたはず。

 競走馬としての実績は皆無に等しい同馬が種牡馬として歓迎されたのは、ひとえにポテンシャルの高さ。馬産地の評判も良く、ディープインパクトの優良な後継種牡馬の1頭であり、今年の新種牡馬では筆頭に挙げられている。

 「ディープ産駒がいなくなる中で、これからどういう子を出せるか楽しみにしている。いきなりこういう依頼をもらえたのはうれしいね」

 13日の中京芝1200メートル新馬戦で初陣を迎える。オーナーはG1レーシング。父がデビューした中京で父と同じ勝負服をまとう。短距離向きのスピードを備えながらも陣営は先にクラシックを見据えている。メリトクラシー(Meritocracy)とはメリット(業績や功績)とクラシー(ギリシャ語で支配、統治)を合わせた「実力主義」を意味する造語。父の背中を知る福永のアシストを得て、自らの力で出世ロードを切り開く。

 《5戦4勝「幻のダービー馬」シルバーステート》16年クラシック戦線において幻のダービー馬と言われたのがシルバーステートだ。ディーマジェスティやマカヒキ、サトノダイヤモンドと同じ現8歳世代。15年夏デビューで新馬2着後、未勝利は中京マイルの2歳コースレコード、秋の紫菊賞は上がり3F32秒7を刻むなど非凡な脚力を示して連勝した。次走は共同通信杯を予定していたが年明けに左前屈腱炎を発症。クラシックを棒に振った。

 長期休養を経て17年5月に復帰するとオーストラリアT、垂水S連勝でオープン入り。放牧を挟み、秋初戦の毎日王冠に向けて調整していたが今度は右前屈腱炎で再び休養へ。その後、回復に相当な時間を要すると判断され、引退が決定。5戦全てで福永が手綱を取った。重賞未勝利ながら血統、レースぶりが評価されて種牡馬入り。半兄に11年アイリッシュダービー2着セヴィル、今年スプリングSを制したヴィクティファルスはおいっ子にあたる。

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2021年6月8日のニュース