【天皇賞・秋】アーモンドV!“8割”で最強証明「令和の女傑」G1馬9頭蹴散らした

[ 2019年10月28日 05:30 ]

<天皇賞(秋>レースを制したアーモンドアイ(右手前)(撮影・尾崎 有希)
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 これが日本が誇る女王の走りだ。G1馬10頭が集結した天皇陛下御即位慶祝「第160回天皇賞・秋」が27日、東京競馬場で行われた。1番人気アーモンドアイが2着ダノンプレミアムに3馬身差をつける圧勝。国内外含めG1・6勝目を飾った。牝馬の天皇賞・秋優勝は10年ブエナビスタ以来15頭目。鞍上のクリストフ・ルメール(40)は18年秋、19年春に続き史上3人目となる天皇賞3連勝を達成した。 レース結果

 「凄いな。びっくりです」。優勝会見の冒頭、アーモンドアイを管理する国枝師は喜びではなく感嘆の言葉を口にした。

 課題のスタートを決め、好位5番手グループを確保。「(ゲートを)ポンと出てくれたので、まずはひと安心。(馬群の)内だったので、あとは締められないようにと思って見ていた」と師。直線に向くと前方でアエロリット、サートゥルナーリア、ダノンプレミアムが並んで叩き合う。内ラチ沿いに空いたスペースに飛び込むと、4頭が並んだのは一瞬。残り300メートルで抜け出すと、ルメールが右ステッキ2発。ここで勝負は決した。レコードにコンマ1秒まで迫る1分56秒2の好時計で、2着ダノンプレミアムを3馬身突き放した。

 G1馬10頭が集結した一戦も、終わってみればまさに1強。末恐ろしい愛馬のポテンシャルを、国枝師は「何だか“おっかない”感じがした」とストレートに表現した。「メンバーがメンバーだからね。直線はもっと“しのぎを削る”ような争いになると思った。本当に凄い馬だよ」。いつもレースで完全燃焼するアーモンドアイ。楽勝に見えたが、レース後はこれまで同様に脚元がフラつくシーンも。恒例のコースに戻っての口取り記念撮影はキャンセル。検量室前で水をかけられ、そのまま厩舎へと引き揚げた。姿を見せない優勝馬に、場内が少しざわついたが、師は「止めると少しフラッとしたので大事を取っただけ」と説明した。

 春の安田記念から中146日での勝利は、84年グレード制導入以降でレース史上最長間隔V。「休み明けで、クリストフも言っていたように8割の出来だった」と認めた指揮官。それでも圧巻のパフォーマンスでライバルを圧倒した。師は「これ以上求めてもどうか」と前置きした上で「いつも思っている以上に走ってくれる。まだ上がある、別の面を見せてくれる。そんな感じがする」と称えた。

 次走はジャパンC(11月24日、東京)と香港カップ(12月8日、シャティン)の2択。師は「オーナーサイドと話し合い、馬の様子をしっかり見極めて決めたい」と話した。ジャパンCで連覇を狙うのか。それとも春のドバイに続き再び世界へ打って出るのか。JRA・G1・16勝を誇る名トレーナーに「凄い」を連呼させた女傑。舞台がどこになろうとも、人知を超えたパフォーマンスでファンを魅了し続ける。

 ◆アーモンドアイ 父ロードカナロア 母フサイチパンドラ(母の父サンデーサイレンス) 牝4歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績10戦8勝(うち海外1戦1勝) 総獲得賞金12億9781万1900円。

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