【エプソムC】アーサー 待望重賞初V、雨なんの 秋へ飛躍だ

[ 2018年6月11日 05:30 ]

<東京11R・エプソムC>戸崎のムチに応え、雨中のレースを制したサトノアーサー(右手前)=撮影・村上 大輔
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 東で西でディープ産駒の逸材が初重賞ゲットだ。秋の飛躍を誓う古馬が集まった「第35回エプソムC」は10日、重馬場の東京競馬場で行われた。6番手追走の2番人気サトノアーサーが力強く伸び、通算11戦目で重賞初V。管理する池江泰寿師(49)は12年トーセンレーヴに続き、2度目のエプソムC制覇となった。

 本降りの雨ニモマケズ。大器サトノアーサーがついに目覚めた。抜群のスタートから3コーナー手前で6番手に引く機敏な対応。初コンビ戸崎は終始馬場の良い外めを選ぶように走り、直線半ばで追いだすとグンと伸びた。迫るハクサンルドルフを半馬身退け、待望の重賞タイトル奪取だ。

 さすがは東の第一人者。東京2Rで年間50勝に到達した戸崎は「大外枠(16番枠)だったので、先生(池江師)とはなるべく中団辺りで運ぼう…とは練っていた。馬場(重馬場)も特に問題なく、スタートも凄く良かったので、思った以上に前に付けられた」と初の騎乗依頼に“満点”で応えて笑顔がはじけた。

 15年セレクトセール1歳セリでは2億1060万円(税込み)で高額落札された逸材。ただ3歳の昨年はダービー(10着)、菊花賞(11着)とクラシックの厚い壁にはね返された。4歳の今年はオープン特別・洛陽S(1着)で心機一転出直した。前走・メイS(3着)を挟み、菊花賞以来の重賞(エプソムC)に挑み、結果を出した。池江師も「ようやく重賞を勝てて、ホッとしています」とまず本音が口から出た。「トモ(後肢)に力が付いたことでゲートも出るようになった。背、腰も強化され、芯が一本入った」と肉体面の成長に目を細めた。さらに「道悪で走る機会が多いけど、パンパンの良ならもっと切れる。道悪は決して得意ではない」と悪路を乗り越えた愛馬を称えた。

 11戦目でつかんだ初タイトル。戸崎は「若い時から活躍していた馬。こういう勝ち方ができて、先々が楽しみになった。まだ低い走りをするので、もっと良くなりそう」と、さらなる成長を保証すれば、池江師も夢を膨らませる。「距離はマイルから2000メートルは守備範囲。これを機にもっともっと活躍してほしい。秋はG1で。天皇賞・秋(10月28日、東京)は目指したい」と思いをはせた。来週の宝塚記念は僚馬サトノダイヤモンド、ストロングタイタンに任せ、アーサーはしばしの充電へ。同師は「夏にもおいしいレースはあるので(笑い)。もう一丁いくかもしれない。そのあたりはオーナーと相談して」とサマーマイル&2000シリーズ参戦に含みを残しつつ、さらなる進撃を誓った。“オープン馬の宝庫”の池江軍団に新たに誕生したG1候補生。雨降って地固まる。アーサーには輝かしい未来が約束されている。

 ◆サトノアーサー 父ディープインパクト 母キングスローズ(母の父リダウツチョイス)牡4歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・サトミホースカンパニー 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績11戦4勝 総獲得賞金1億3958万1000円。

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